<米中間選挙>米民主主義は生きていた 民主党が歴史的圧勝 トランプ氏、一転惨敗受け入れる まだ視野にない「復活」への道 民主主義回復目指す民主党にトランプ氏やトランプ派勢力との戦い

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 米中間選挙はトランプ大統領およびその熱烈な支持層「MAGA(米国を再び偉大に)」派にとっても、反トランプ勢力にとっても、ひと回り大きなスケールの「トランプ惨敗」をもたらした。トランプ氏に破壊されてしまったとさえ思えた米国民主主義が生き延びていたと受け止めていい。だが、トランプ氏の発言からは、この惨敗をまともに受け止めているとも、本性が変わっとも思えない。民主党および国際社会は、トランプ政権により乱された国際法秩序の傷を癒し、新たな発展への道筋をつける大きな責任を果たさなければならない。

「不正選挙」の主張控える

 トランプ氏は投票前日まで劣勢の中間選挙の結果を受け入れるかとの米メディアの質問に答えて「不正選挙の結果」は受け入れないと公言していた。裏を返せば「民主党は不正選挙の党」というデマゴーグを振りまき、自ら不正選挙の「嘘の証拠」をばらまいて選挙結果を認めずに混乱を引き起こそうとしてきた。

 民主党最大の根拠地カリフォルニア州の投票者のうち2 万人が米市民権を持たない不正投票者だから排除するよう司法当局に迫り、不法移民摘発・国外追放の実力行使機関ICE部隊を同州に派遣したが、最高裁がこれを却下している。この手口は何回も繰り返しているが、結局、全て司法排除されてきた。

 トランプ第2次政権では当初、最高裁がトランプ氏有利の判断を下すことが多かった。しかし、中間選挙をめぐって同政権の主張を許さない判断を出すことが目に付くようになってきた(『Watchdog21』2026/10/22 拙稿参照)。だが、選挙結果はさすがのトランプ氏も「不正選挙」という声を上げることをはばからざるを得ない「惨敗」だった。

 この背後には、激戦となった各州の民主党側がトランプ側の「選挙潰し」を見越して、それを封じ込める先手を打ったこと(郵便投票を含めた期日前投票の奨励など(『同』2026)。トランプ政権側も、トランプ機関化している司法省も治安維持のために1千人余りの警戒要員を配置したので、投票妨害の余地はなくなったようだ。米主要メディアが「トランプ氏は選挙戦の敗北を受け入れないだろう」と報道してきたことも、抑止効果があったと言えるだろう。

惨敗要因の戦争をまた行うと宣言

 しかし、トランプ氏は大方の見方には反して、敗北を受入れるとともに、上下両議会の多数をにぎった民主党がどんな法律をつくっても大統領否権を発動すると宣言、これまでと同じように大統領行政命令を駆使してトランプ流を貫くと挑戦の姿勢を誇示している。だが、広範な警告を無視して強行、その警告通りの結果に陥っているイラン戦争が敗北の最大の理由と認めながらも、こうした戦争はまた行うと宣言している。

 ネタニヤフ・イスラエル首相に引き込まれたともいわれるが、その結果は中間選挙の惨敗となって降りかかっただけでなく、世界中の数十億人の生活、さらにはその人生に多大な被害をもたらしたことにまったく気にならないようだ。このまま残り2年をうまく渡り歩いて、今度こそ「ノーベル平和賞」を手にしようと思っているのだろうか。「トランプ氏は一生の間に何冊本を読んだのだろうか?」という記事を最近読んだ。

民主党を待ち受けるものは

 トランンプ氏が4年の任期を全うすれば、後継者とした最有力視されてきたバンス副大統領は、イラン戦争に反対した。選挙敗北となって、同氏は自分がイラン戦争に反対したことを宣伝し始めている。トランプ政権内では、こうした「責任」の押し付け合いが始まるのだろうか。

 「米国史上最高の大統領」の下で「黄金時代」を迎えたとトランプ氏は主張していたが、トランプ氏とともにトランプ氏を神格化してきたMAGA派勢力が中間選惨敗をどう受け止めるのかも注目される。

 第2次トランプ政権は、本人の第1次政権の失敗の反省から、閣僚は忠臣で固めるとともに、実業家イーロン・マスク氏を使って、いわゆる無駄排除の名のもとに主要官庁幹部から中堅どころまで、大量の民主党人材をパージしてトランプ派で固めた。

 この「縁故人事」の弊害が広がって主要官庁のトップクラスが多数入れ代わったが、民主党は上下両院を握ったとしても、トランプ氏が大統領として居座っているうえに、主要官庁や政府諸機関には少なくともトランプ派がそのまま残っていることになる。

 民主党は上下両院の多数を奪還したしたとはいえ、トランプ氏および政権の居残り勢力と戦いながら、米民主主義の「回復]への道を開いていかなければならない(11 月5日記)。