11月3日の米中間選挙が1週間余に迫った。野党民主党が「不正投票の党」とするトランプ・キャンペーンを押し返して圧勝する見通しだ。内政も外交も思うようにはいかず、史上最低の支持率のさらなる降下が止まらないトランプ氏がどんな「負け方」をするのか焦点だ。
大統領選「盗まれた」の前例
トランプ氏は2020年大統領選で敗れたものの、バイデン民主党候補の不正投票によって大統領を盗まれたと主張し続けていることから、共和党の敗北も受け入れないだろうという見方が広がっている。民主党はそれを見越して今月に入るとすぐ、トランプ氏の「選挙潰し」に対する既成事実作りの期日前投票を呼び掛けて、既にその投票が始まっている(週末の期日前投票は全州出認められている)。
連邦議会選挙は下院が定員435人で全員が改選。過半数は218議席。現在は共和党218、民主党212、欠員5。上院の議員定員は100人で、任期6年で2年ごとに3分の1ずつ改選。
現在はトランプ大統領の与党共和党がj上下両院ともに多数を占めている。だが、今回選挙では下院は民主党が過半数を数議席超えるとの見通しで、トランプ氏は「半身不随」を免れない事態だ。加えて上院は共和党が多数を維持するとの当初の見方が接戦へと変わり、最近は上院も民主党多数の可能性があるとの見方が出ている。そうなればトランプ氏は「半死状態」に陥る。
ウクライナには「裏切り」
主要な五つ前後のメディア・調査機関の世論調査によると、トランプ氏の支持率は9月入り時で30%台半ばだったが、その後着実に下降し続けている。ロイター通信は10月19日、トランプ大統領の支持率が過去最低の31%になったとする世論調査結果を公表した。これまでの最低は32%だったとしている。間もなく20%台転落のペース。トランプ氏は自分が米国の歴史上、最高の大統領と信じていて、このような不人気がさらに進行中であることは、自分にも周辺にも全く理解できないと記者団に語ったという米メディアの報道があった。
そのトランプ氏が後ろ盾になってきたウクライナに侵略戦争を仕掛けているロシアのプーチン大統領に対する制裁の柱である石油輸出ストップを緩和した。両国の和平仲介のステップのつもりのようだが、ウクライナにとっては突然の裏切りとなっている。トランプ氏の石油価格の引き下げたいという選挙向けであることは明らかだ。
トランプ氏不人気の理由は、まずインフレ(生活必需品やガソリン高騰)、イラン戦争(数週間で済むはずが既に8か月目)があげられるが、トランプ氏はそれさえも分からないのだろう。
不支持理由、人格にも
最近の米紙ワシントン・ポスト紙、ABCテレビ、調査会社イプソスの世論調査は、トランプ氏の政策・言動について詳しい問いかけをしている。それによると、報道の自由妨害、投票の自由妨害、古い地名やケネディーセンターなどの呼称を自分の名前に替えてきた、大統領の地位を自分とファミリーの財産増やしに利用してきた、自分のテレビ広告に公費を使っているなど。いずれも60~80%の高い比率で批判されている。もはや大統領としての政策の賛否をはるかに超えた人間性、人格、品性に対する批判、非難におよび、さらには嫌悪感がここまできていることが浮かび上がっている。
「議会乱入」の記憶
11月3日の中間選挙ではどんな事態が起こりそうなのか。米報道によると、トランプ氏・共和党も民主党も、激戦になりそうな州・選挙区の投票所には投票者を激励し、守るために多数の支援者を送りこむ準備を進めている。
トランプ政権は双方の多数の応援者の間で、不測のトラブルや衝突に備えて、あるいは外部団体などの介入による混乱などに備えて、治安当局や州兵(平時は州知事の指揮下にあり、緊急事態などの際は大統領の指揮下に入る)の出動の準備に入っている。重大な事態に発展した場合は大統領が米軍出動を命じることもあり得るとされている。
だが、州兵にしても米軍にしても、共和党のものでもないし民主党のものでもなく、両党の党員を入り混じって闘わせることになる。
「11・3」に世界の目
米国が民主主義国家のモデルとされた時代は終わったと言えるのかもしれない。2021年1月に大統領選挙の結果を憲法に基づいて最終的に確認する米連邦議会上下両院合同会議の最中に、これを阻止しようとトランプ氏の支持者らが連邦議会に乱入し占拠した。連邦議会乱入事件を扇動したとされるトランプ氏はその後大統領になったが、この乱入事件はまだ忘れられてはいない。11月3日に世界の目が向けられている。
(10月22日記)