自民総裁選大芝居にごまかされるな 野党共通政策こそ焦点だ 「市民と野党の共闘」はまとまった

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 政権のプロモーター、二階幹事長に「恩知らず」と言われた菅義偉首相の退陣が決まり、候補者が絞られてきたことで、マスコミの総裁選報道がますます加熱している。問題は、まるでコロナも五輪も忘れたかのように、これを大きく取り上げ、騒いでいるテレビ、新聞だ。
 総裁選をこれだけ取り上げるなら、ようやく合意にこぎ着け、発表された立憲野党4党の「野党共通政策」の合意も同じ量だけ取り上げなければ、公平・公正とは言えない。

総裁候補は安倍元首相の歓心取りに主眼

 自民党はこれまでもずっと、総裁選を自党のキャンペーンに使ってきた。「政策が違う」と言って一生懸命違いを見せようとしながら、結局、自民党の「いまの政策」は変わらない。


 かつて穏健な保守として支持が高かった宏池会の流れを持つ岸田文雄氏は、何と「改憲の道を探る」とか、「モリカケ、桜などは再調査しない」と発言。「ウイグルでの人権侵害を非難する国会決議」とも主張した。改革派として期待される河野太郎氏は、「再生可能エネルギーを最優先で導入する」と説明したが、「原発再検討」や「女性・女系天皇の検討」などの持論は封印。森友再調査についても、「もうすでに検察、その他、色々動いているわけですから必要ない」と言い切った。
 推薦人は安倍前首相が集めた、という高市早苗氏は「安全保障が第一」と軍拡路線を冒頭に掲げ「アベノミクスを継承、サナエノミクスも」などと公言した。
 要するに、自民党を右派政党に変身させた安倍晋三氏の歓心をどう取るか,の競争を公開して見せているのが「総裁選」なのだ。

野党4党首合意で候補の一本化なるか

 8日に発表された,立民、共産、社民、れいわの4党首が署名した、市民連合の提言に合意した共通政策は6項目。小項目で数えると20項目だ。19年参院選前に発表された13項目は「安倍改憲」が提起され、それが重要な課題だった時期だったが、いまはやっぱり「コロナ」。項目に上げられているほか、モリカケ、桜、1億5000万円、学術会議など、安倍、菅政権で目立った、「権力の私物化」の真相究明もはっきり位置づけられている。


 共通政策の6つのテーマは、①憲法に基づく政治の回復②科学的知見基づく新型コロナ対策の強化③格差と貧困を是正する④地球環境を守るエネルギー転換と地域分散型経済システムへの移行⑤ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現⑥権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する―の6つ。「核兵器禁止条約」や「選択的夫婦別姓の実現」、「内閣人事局のあり方見直し」も上げられている。
 こうした「合意」の中で、地域での候補一本化の話し合いがどう進んでいくか。日本のこれからを考えるとき、総裁選の帰趨(すう)より大事なのは、この運動である。

(サイト「憲法とメディア」(ttps://www.kempowmedia.com/index.html)から転載)