コラム「番犬録」第22回 あけっぴろげな物言いが目立つ高市首相 おごりからくる高揚感からか、あるいは癖なのか 社会的弱者にやさしい政治を 突っ込みどころ満載の「施政方針演説」 過去のコラム全文を削除 食料品の消費税ゼロ巡る「私の悲願」は「真っ赤なウソ」と報じられる 国会無視の国民会議は「(うまくいかなかった場合の政権の)アリバイ作り」 「非核3原則の堅持」はあやしい 財政民主主義に反する複数年度予算 法案提出直前まで概要明らかにしないスパイ防止法案

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 昨年12月9日からの一問一答形式の臨時国会予算委の補正予算案審議を前にして、毎日新聞は「高市早苗首相の率直な語り口が政権運営の不安要素になる可能性もはらむ」(12月8日)と書いた。総選挙を経た今国会は2月27日から衆院予算委で審議が始まった。「率直な語り口」よりも、与党で衆院の4分の3もの議席獲得という大勝からくる余裕なのか、あるいはおごりからくる高揚感からか、あるいは癖なのか。「率直な語り口」というよりは首相としての資質を問われかねない「あけっぴろげな物言い」が目立っている。しかし、メディアから批判されれば、されるほど、人気が上昇するという高市氏。この物言いも「高市人気」上昇の火種になるかもしれず、私の“高市鬱”はひどくなる一方である。

 まず、27日の衆院予算委。衆院選で当選した自民党議員への1人3万円相当のカタログギフト配布問題で、中道改革連合の小川淳也代表から「合計1千万円は、国民の金銭感覚からかけ離れた行為ですよね」と問われると、高市氏は「違法ではない。私もよく調べたうえで対応している。受け取る側も違法ではない」と答弁した。高市氏はいずれ公になることをあらかじめ認識した上での「確信犯」であることを自ら認めたことになる。昨年、10万円の商品券をポケットマネーから15人の新人議員に配った石破茂前首相のときには強い批判があり、石破氏は謝罪したが、高市氏は謝るどころか、長い間、政治資金規正法や政党交付金を担当する総務大臣を安倍晋三内閣の時、3次にわたりやりながらも、今回の振る舞いは開き直ったとしか言いようがない。カタログギフトは「当選をねぎらう何らかの気持ちを示したいという中でのぎりぎりの判断だった」のだそうだ。確かに、商品券は有価証券で、カタログギフトは同じように見えるが、そうではない。

 続いての答弁で高市氏の口から出た言葉に、私が問題だと感じた物言いがあった。

 「恥ずかしいが、昭和の中小企業のオヤジ、社長みたいなところがまだ私にはあるのだろう」とのくだりだ。高市氏は気づかなかったのかもしれないが、中小企業の経営者を馬鹿にしたような言い方だ。さらに、高市氏は当選議員315人全員に配ったように言っていたと思うが、側近の木原稔官房長官は、予算委直後の記者会見で「配ったのは、全員ではなく、おおむねすべての」と修正した。官邸幹部によると、「一部の議員からカタログギフトを受け取っていない」との指摘があったからだという。(以上、朝日新聞28日付朝刊記事を基に私の考えを付け加えた)

 それでは、外された「一部議員」とは誰か。なぜ外したのかとの疑問がわく。外す指示は高市氏が出したのか。確かに、個人でなく政党支部から配ったようになっているが、のしには「高市早苗」と書かれている。首相の立場にあるものが法令上はともかく、倫理上行っていい行為ではない。だから、マスメディアの「法令違反ではない」との断定的な書き方には違和感がある。高市氏はこういう姿勢だから、「裏金議員」を公認して復権させ、要職に就けたりするのだ。高市氏には、とても「政治とカネ」の改革などはできない。本人にもそのつもりはないようである。

 さらに、高市氏は予算委で3月の日米首脳会談を前に「私がトランプ大統領と堂々と渡り合えるように働いてくれるのが大臣の仕事だ」として、赤沢亮正経産相を振り返り「私に恥をかかせるなと言ったよね」と念押しする場面があった。赤沢氏は石破氏の「最側近」で共に鳥取県選出の衆院議員だが、高市氏に石破内閣での日米交渉の実績を買われて入閣した。高市氏は石破氏嫌いで「戦後80年談話」を出すことに強く反対していた。いくら赤沢氏がその「子分筋」だからと言って、国会という公の席で自分の力を誇示するように「私に恥をかかせるな」という物言いは、一国の経産大臣である赤沢氏に大変失礼な振る舞いではないか。これも、支持者受けを狙ったパフォーマンスと言われれば、それまでだが。

 もう一つ紹介しておこう。東京新聞28日付朝刊の「こちら特報部」によると、26日の参院本会議で立憲民主党の斎藤嘉隆議員は「現在、学費・物価の高騰で、多くの若者や勤労世代が奨学金の返済に苦しんでいる」として、奨学金返済額の一定割合を所得控除する「奨学金返済減税」の検討を求めた。これに対し高市氏は「返還不要な給付型奨学金を拡充するなどして負担軽減を図っている」と述べた。そのうえで「奨学金返済減税は、奨学金の貸与を受けなかった人との公平性や、必要のない奨学金を借りるモラルハザードが起きる可能性、所得税額が少ない人には効果が限定的であることなど課題がある」と答弁した。「モラルハザードが起きる可能性…」と高市氏が口にした直後「起こるわけないでしょ」とのヤジが飛んだ。SNSでも立憲の塩村あやか参院議員が「総理本気ですか。元当事者として断固抗議したい。借りる必要のない奨学金なんて借りたい学生はいない」と訴えた。

 高市氏は昨年11月12日の参院予算委で立民の杉尾秀哉氏が、高市氏が野党時代に「さもしい顔してもらえるものはもらおう」などと生活保護受給者らを批判する発言を問われた。その際には「不正受給への対策を訴える意図だった」と釈明している(共同通信)。

 同じような発言はまだある。高市氏の夫のために、首相公邸がバリアフリーに改装されたとの報道を受けて、高市氏はその事実を否定しつつ「仮に貴重な税金を使って改修工事をする必要があるのであれば、私たちは公邸に引っ越ししません」とSNSに投稿。これに対して、中学生の時に難病を発症して車椅子生活となったアーティストの近藤銀河さんは「健常者に対して気を使い、マイノリティーが堂々と主張できるはずのーけれど主張すれば批判を浴びそうなー権利を引っ込める姿勢は、私の日常の中で選びたくないのに繰り返し浮かび上がってくる選択肢だった。それを政治のトップが口にしている」と批判した(2月17日付朝日新聞への寄稿)。高市氏は、脳梗塞で倒れ後遺症が残る夫の介護を続けているとされるが、いまやバリアフリーは常識。これまでに公邸がそうなっていないこと自体がおかしい。

 このように、社会的弱者へのおもいやりを欠いた高市氏の物言いは「権利ばかり主張する」との憲法観からくると推察されるもので、首相の資質としてどうなのか。もう少し結果として、自分の物言いが人を傷つけることになるかもしれないという想像力を持ち、ご自分の発言に注意し、社会的弱者にやさしい政治を望みたい。何事にも「強さ」を強調する高市氏なのでそんなことを望んでもむだなのかもしれない。

▼ 「消費減税は私の悲願」 高市首相また真偽怪しい発言で過去コラム全文削除

 「日本初の女性首相」ということもあって国民的な人気も高く、総選挙で自民だけで3分の2を超す圧勝後も世論調査で60~70%台という高支持率が続く高市氏。その人気にもかかわらず、「白紙委任を得たつもりは全くない」と2月18日の記者会見で述べたものの、「謙虚」かといえば、そうでもない。政権の最大の目玉政策のはずの「物価高対策」のうちの「食料品の2年間の消費税減税」を掲げた際に発した「消費税減税は私の悲願」といった言葉も高市氏の過去のコラムを検証したライターの記事でその真偽が怪しくなってきている。

 ひとつは、新年度当初予算の早期成立に向けた国会での審議時間短縮の動き。高市氏は会見で「国民生活に支障を生じさせないよう与党と相談し、野党にも協力をお願いしながら早期実現を目指す」といい、年度内の予算成立をあきらめていない意向を示した。通例は予算審議には衆参両院で2カ月ほどかかる。それを約40日に短縮したいというのだ。

 そもそも、解散総選挙は「政権基盤強化」を表面上は目的としながらも、実際は人気が高いうちならば勝てるという大義に乏しい身勝手な高市氏自身のためのかけだったのではなかったか。そんなことをすれば、予算成立が遅れるは初めから分かっていたはずだ。

 それを「年度内予算成立」などと言い始めることは、あまりにも身勝手すぎないか。高市氏のしたたかなところは、「あきらめていない」という言葉で国民の気持ちに寄り添っているとたくみに見せかけ、高い支持率を維持しようとする意図が透けて見える。このように言っておけば、野党のせいにできる。「他人のせい」にするのは高市氏の悪い癖の一つである。

 憲法上、国会は「国権の最高機関」である。与党質問をやめて短縮という案も出ており、維新も賛成のようだが、これは一見、合理的に見えて、国会軽視も甚だしい。与党の質問などはいらないと言っているのに等しい。選挙で大勝ちしたからと言って、何でもありではない。高市氏は「議会制民主主義」がわかっていないのではないか。わかっていてやろうとするならば、それは「独裁」である。

 朝日新聞19日付朝刊に「高市首相『コラム欄』削除 再公開未定」という短い囲み記事が載った。高市首相自身の公式サイト上で、政治信条や政策などを記していた「コラム欄」が18日までに削除された。高市事務所は「シンプルな内容にするための見直しをしている」と説明しているという。朝日によると、コラムは20年以上前に始まり、自身が関わった政策の説明や政治状況への思いなどが書かれていた。その中には、戦前の教育勅語を「現代においても尊重すべき正しい価値観」と強調するコラムもあった。

 翌日の東京新聞はほぼ同じ内容の記事を掲載。だが、朝日記事になかった「なぜ削除されたのか」について、「非公開となった理由についてネットで憶測が広がっている」と書いた。そのうえで「17日朝公開の『プレジデントオンライン』の記事は、過去のコラム内容を検証したうえで、 首相の1月の記者会見で食料品の消費税2年間ゼロについて「私の悲願」と発言したのは「真っ赤なウソ」と断じた。「首相は主張の整合性を問われることを避けてコラム欄を削除したのではないか、とのネットでの書き込みが増えている」としている。

 そこで、プレジデントオンラインの記事。筆者はライターで作家の中野タツヤ氏で、「『消費税減税は私の悲願』は真っ赤なウソ…公式ブログ記事1000本を検証して判明 『増税政治家・高市早苗の正体』」との見出しで報じた。

 中野氏は2000年8月から続く高市氏の公式ブログから、消費税に関する投稿をピックアップし、本当に悲願だったのか確かめたという。1000本以上の掲載記事のうち、消費税に直接言及したものは7本。そのうち、はっきり消費減税を主張したものは1本もなかったとする。そして、「それどころか、むしろ『消費減税』ではなく、『消費増税』こそ(高市氏の)悲願だったのではないかと思えてくる。高市氏はその清新なイメージに反し、実際は相当な『タヌキ』なのではないだろうか」と手厳しい。

 「外国人が奈良公園でシカを蹴った」や選挙中のNHK党首討論ドタキャン問題など、高市氏には、その真偽が疑われる発言が多すぎないか。朝日はプレジデントオンラインの記事を見ていなかったのか。見ていたら、なぜ書かなかったのか。これも説明する必要がある。朝日記事では削除の本当の理由がはっきりしない。

 18日夜の第2次内閣発足後の記者会見。まるで高市氏の独演会だった。時間が短いだけでなく、事前に記者側から質問を出し、高市首相はその回答をプロンプターを見ながら読んでいるように見える。高市内閣になってからこんな会見が続いている。野党が大負けし、その「監視機能」が下がったいま、マスメディアの会見は「権力監視」にとって非常に重要である。官邸記者クラブは、官邸と厳しく対決し、「更問いは許されない」「質問は一社一問」などの状況を交渉して変えるべきである。それは、本来、記者会見の主催者であるはずのマスメディアの社会的責任でもある。(2月20日)

▼ 予算単年度主義は戦時財政の教訓から

 高市氏が2月20日に行った「施政方針演説」は突っ込みどころ満載だ。約50分のながーい演説のうちで国民が覚えているのは、おそらく「本丸の責任ある積極財政」の「官民連携による投資促進」の最後で、高市氏が例の不思議なスマイルでボリュームを上げて叫んだ「とにかく成長のスイッチを押して、押して、押して、押して、押しまくってまいります」という部分だけだろう。

 総裁選勝利後のあいさつでやらかした「働いて、働いて(5回繰り返す)」と全く同じ手法だ。これが国民受けするから高市氏は何度でも同じことをやる。「働いて・・・」は「労働時間短縮の規制緩和」につながり、今回施政方針の「裁量労働制の見直し」(選挙公約にはなかった)へと拡大した。「長時間労働の解消」も目的とした、「働き方改革」とは一体、何だったのか。労働者ではなく経済界に寄り添った政策で、これが実施されれば、「過労死」被害者の家族をさらに絶望させることになる。

 施政方針のうち、「経済力」「技術力」「外交力」「防衛力」「情報力」「人材力」「治安・安全の確保」の7項目のうち「経済力」に限って、私が直感的に感じたことをいくつか考えてみた。経済はあまり得意ではないので、ニュースチャンネル「Arc Times」の尾形聡彦氏と元慶応大教授の金子勝氏の対談などを参考にした。

 まず「責任ある積極財政」という言葉の「責任ある」とはどのような意味なのか、「やってる感」はあるが、よく分からない。また「長年続いてきた過度な緊縮志向」という表現を使うが、日本の国家予算はずっと拡大を続けており、最近の政権で「緊縮財政政策」をとってきた政権はあるのか。そもそも、民主党政権の一時期を除いて、自民党が政権を担ってきており、同じ自民党政権である高市政権がこれまでの先輩たちの政権を全否定しているようにすら見える。

 もうひとつ、「毎年補正予算が組まれることを前提とした予算編成と決別し、必要な予算は可能な限り、当初予算で措置します」というのはいいが、実現可能なのか。そもそも、数千億円規模だった補正が兆円規模になっていること自体がおかしい。昨年12月に成立した高市内閣での25年度の補正予算一般会計総額はコロナ下を除くと最大規模の18兆3000億円だった。財源の6割は国債発行で賄っている。こんな大見得を切って本当に大丈夫なのか。

 さらに、「事業者に安心して研究開発や設備投資をしていただけるよう、複数年度予算や長期的な基金による投資促進策を大胆に進めます」とする。「複数年度予算」を強調するが、「財政民主主義」を定めた憲法や財政法に抵触しないのか。予算の民主的統制を定めた憲法86条は「単年度主義」をとる。茨城大准教授の掛貝裕太氏(専門は財政民主主義)は「時の政権は未来のことまで信託されていないので、予算は1年限りで完結させる考え方です。これは戦時中、国債を発行して際限なく軍事費が広がっていたことの反省からきています」(東京新聞2月18日付朝刊)という。財政法4条は国債の発行を原則禁じている。これも、財政を通じて戦争危険の防止を狙いとしている規定で、同法の起案にかかわった旧大蔵省法規課長は「公債のないところに戦争はないと断言し得る」と解説している。いずれも戦時財政の教訓から出てきたものだ。だから、戦後まもなく、でたらめ経済のせいでハイパーインフレが起き、国民は大きな被害を受けた。

 今回の施政方針でも、危機管理投資として経済安保や食料安保を挙げており、方針には具体的な明示はないが、安保・防衛力増強も目的なのだろう。3月の高市氏の訪米をきっかけとして現在のGDP比2%(上げられたばかり)から3・5%から5%に上げる圧力がかかるのは目に見えている。そうすると、新たに年20兆円から30兆円以上の財源が必要になる。先に数字ありきだが、安倍政権下では米国製武器の「爆買い」が批判された。一体、どうするつもりなのか。

 また「経済力」の最後の部分に「2年間食料品の消費税ゼロ」を挙げ、そのあとに予定される「給付付き税額控除」について言及している。これについては、「超党派で構成される国民会議」で検討を進め、結論を得ますとする。これもそもそも、衆院で自民単独で3分の2以上の議席があるのになぜ、与党で案を決めないのか。わざわざ「国民会議」など作る必要性はないのではないか。これも国会無視である。会議から共産やれいわとともに排除された神谷宗弊参政党代表が「(うまくいかなかった場合の政権の)アリバイ作り」というのは珍しく的を得ている。

 「食料品の消費税2年間ゼロ」については、高市氏が「私の悲願」とした記者会見での発言を過去ブログを詳しく検証したうえで「真っ赤なウソ」と断じたプレジデントの記事を気にしてか、高市氏が主張の整合性を問われることを避けて自分のコラム欄を削除したのではないかとの疑いが出るなどのおまけが付いた。「消費税減税」については国際通貨基金(IMF)が18日、日本政府に対して消費税減税は避けるべきだと警鐘を鳴らしている(ブルーンバーグ)。さてどうなるか。「高市スマイル」ではごまかせない。(2月22日)

▼「非核三原則」高市氏は代表質問にどう答えたか

 高市氏の施政方針演説に対する代表質問が2月24日、始まった。数あるテーマのうち私がその重要度が高いと注目したのは、高市政権が安保関連3文書の改定に伴う非核三原則の扱いをどうするかとの問題である。中道の小川代表の質問に対して、高市氏は非核三原則について「政策上の方針として堅持している」と述べた。高市氏はこの問題について、これまで質問に真正面から答えずだんまり戦術を貫いてきたが、ようやく高市氏の口から「堅持」という言葉が出た。

 高市氏はその編著書「国力研究」の中で「持たず、作らず、持ち込ませず」の三原則のうち、「持ち込ませず」については「邪魔」とまで言及していた。だが、今回、「堅持」と答弁したので高市氏が見直しはしないと断定するのはまだ早い。「政策上の方針として」という言葉が前にあるので、その点、あいまいになっている。

 右派論客で高市氏と親しい友人の櫻井よしこ氏との対談集「ハト派の嘘」(産経セレクト)で、高市氏は「非核三原則の『持ち込ませず』については、過去の国会決議が存在しますから、有事の例外を検討する場合、国会においては賛否を分かつ大きな議論となるでしょう」と前置き。その上で「守るべきは『国民の皆様の命』か、『非核三原則』か」という判断を迫られるような究極の事態に至った場合、「持ち込ませず」を見直すことについては「リスクの最小化に向けた備え」として考えておくべきであり、議論は封じてはならないと考えています」との見解を示している。

 要するに、緊急事態になったときのためには、例外として見直しは必要と言っているわけで、「堅持」といったからと言って、今国会で見直すかどうかはまだまだ分からない。いま、「見直す」と答弁したら、野党、メディア、諸外国から非難を浴びるなど大変なことになるので、とりあえず「政策上の方針としては」というあいまいな言葉をかぶせてごました、と私は見る。

 このほか、連立相手の維新が主張する「核共有」については「私としては認められない」と答弁。安保政策を具申する高市氏の側近の官邸幹部がオフレコ懇談で「日本は核兵器を保有すべきだ」との考えを示したことを問われると「政府高官から核保有に関する提言は受けたことはない」(朝日新聞25日付朝刊)と述べた。では何のために、この人を官邸入りさせたのか。

 この高官は首相補佐官の尾上定正元空将で、大手メディアはオフレコ懇談を理由にまだ実名を報じていない。週刊誌などは実名なのにこれもおかしい。メディアはどこを向いて仕事をしているのか。週刊新潮2月26日、3月5日合併号の「長期政権を狙う『高市首相』の万能感」では、「とにかく、選挙で大勝した高揚感に高市総理は浸っていて、何でもやってやろうという様子ですね」との自民党関係者の声を伝えており、ある官邸関係者は「昨年12月の尾上氏の『核保有発言』が問題になったとき、わざわざ(安倍晋三政権を支えた)官邸入りさせた内閣官房参与の今井尚哉氏が「更迭」を進言したが、聞き入れなかったという。高市政権の「影の指揮官」の進言にさえ言うことをきかなくなってということなのだろうか。とすれば、これは恐ろしい。

 一方、「スパイ防止法」について、「外国勢力が我が国の意思決定に不当に干渉するリスクが生じており、まずはその活動を阻止する仕組みが求められる」と必要性を強調したが、その具体的な内容については全く触れなかった。「国論を二分する政策」と言いながらも、その政策の内容については具体的に説明しない。見出しだけだ。以前に似たような法案が廃案に追い込まれた経緯もあり、野党だけでなく、国民からの反発を恐れてのことだろうが、「スパイ防止法」のように国民の人権にかかわるような問題を法案提出直前まで概要を明らかにしない手法は民主的手続きに反する。高市氏が言う「外国勢力」というのは、おそらく「中国」を指しているのだろうが、統一教会の「TM特別報告書」で「32回も登場」と週刊文春に書かれて高市氏との関係も取りざたされる韓国の「統一教会」はどうなのか。

 高市氏の奈良の事務所が2月中旬、衆院選で当選した党所属の議員全員に3万円相当のカタログギフトを渡していたことが明らかになった。総額1千万年相当。昨年、石破茂前首相の事務所が初当選した議員に商品券を贈り「謝罪」したばかりだが、バレることを知りながら行った確信犯的振る舞い。首相として恥ずかしくないか。こういうことを甘やかす「サナ活」支持者も悪い。石破氏と異なり、謝罪もせず、「政党交付金は一切使用していない」とX(旧ツイッター)に投稿したが、お金には名前は書いていない。マスメディアも単に「法令上問題ない」と報道するだけでなく、これが高市氏の衆院選に大勝したおごり高ぶりぶりであることを徹底的に暴いてほしい。(2月26日)