日本は先進国で唯一米に盲従 伊が米爆撃機の基地使用拒否 意見が違えば伝えると伊首相 露骨な「抱きつき外交」の高市首相と鮮明な相違 強襲揚陸艦や米海兵隊のペルシャ湾周辺派遣に日米間の事前協議・通告はあったのか 「トランプの米国」に唯々諾々と従う危うさ危険水域に イスラエル首相にそそのかされ見誤るトランプ氏 「石器時代に戻してやる」と脅し文句 訪中までの「勝利」に狂奔 

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 米軍とイスラエル軍によるイランへの奇襲攻撃(2月28日)から始まった中東危機は、世界中を巻き込み続いている。イスラエルのネタニヤフ首相にそそのかされ、イランの体制転換の好機と完全に見誤ったトランプ米大統領は1カ月間延期した中国訪問を5月14、15日に再設定し、何とかそれまでに「勝利」を取り繕うのに狂奔している。イランが言うことを聞かなければ「石器時代に戻してやる」という乱暴な脅しの常套句まで飛び出した。

▽伊、事前の許可申請なく着陸認めず

 3月17日の初稿でも触れたが、先進7カ国(G7)首脳の中でも高市早苗首相とともに右派民族主義者と目されていたイタリアのメローニ首相のこの問題に関する立ち居振る舞いが高市氏と鮮明な相違を示しつつある。G7の中で日本は、米国に唯々諾々と従う唯一の特異な存在になっている。

 3月31日付のイタリア紙コリエレ・デラ・セラによると、イタリア当局が複数の米軍爆撃機に対し、南部シチリア島にあるイタリア軍基地(米軍の拠点もある)の使用を拒否していた。米軍機は中東に向かう予定だったが、イタリア側に事前の許可申請がなかったため、両国の基地使用に関する取り決めに基づいて着陸を認めなかったという。米軍機が既に離陸した段階になって、中東に向かうことがイタリア側に通知されたという。イタリア政府は対イラン軍事作戦に関連した基地使用に際しては、議会の承認を求めると表明していた。

▽「同盟国でも言うべきことは言う」

 イタリア初の女性首相のメローニ氏はトランプ大統領と欧州との架け橋的な存在だったが、イラン攻撃については3月11日の上院で「国際法の範囲外の一方的な介入」だったと批判した。また児童ら160人以上が死亡したイラン南部ミナブでの女子小学校へのミサイル攻撃(米軍による誤爆の疑いが濃厚)を「断固として非難する」「この悲劇の責任の所在が速やかに特定されることを望む」と述べた。

 4月初めにはイタリア放送協会(RAI)の取材に対し「地政学的な観点から言えば、欧州が米国と意見を異にすることで得られるものはほとんどないだろう。しかし、我々の責務は何よりもまず国益を守ることであり、意見が違うのであれば、それを伝えなくてはならない」「そして今回、我々は意見が違う」と述べていた。4月3、4日にはサウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)の中東3カ国を歴訪。サウジの実権を握るムハンマド皇太子らと会談し、エネルギー供給やホルムズ海峡の航行の安全確保について協議した。カタールのタミム首長やUAEのムハンマド大統領らとも相次いで面会した。

 イタリアは米国の同盟国でありながら、言うべきことはきちんと伝え、意見の違いがあることを隠していない。「国際法に違反する攻撃であったかどうかに関する客観的な証拠を持ち合わせていない」として逃げ回る高市氏の姿勢と対照的だ。自ら湾岸諸国に飛び、首脳外交でイタリアの国益確保に努める行動力も目立った。

▽ホワイトハウスでの首相の問題写真 

 その高市氏は3月19日のトランプ大統領との首脳会談で、露骨な「抱きつき外交」とも言える愛想取り作戦に終始したようだ。ホワイトハウスのホームページに掲載された写真では、執務室へとレッドカーペットを踏んで向かう高市氏とトランプ氏が互いの腰に手を回している。最初にハグし合ったのは、ペルシャ湾への自衛艦の派遣など米側の強硬な要求を交わすための作戦と解せないこともないが、この写真はイラン攻撃のさなかの日本の最高指導者の立ち居振る舞いとして、強い違和感を感じさせるものだった。日本はイランとも歴史的に独自の友好関係を維持してきたのに、これを見たイラン国民は一体どう感じただろうか。

 さらに違和感を与えたのが、ホワイトハウス主催の夕食会で米側が撮影し、ホームページの写真集トップに掲げた高市氏の写真だ。両手をこぶしに上に掲げ、口を大きく開け、何事か叫んでいるような異様な姿。後方には軍楽隊の姿が見える。高市氏自身がXに「昨日の夕食会では、会場の外に私が到着したら、軍の音楽隊の方々が(私の好きな)XJapanの『Rusty Nail』を演奏してくださり、大感激でした」と投稿したので、これはどうやら、米側のおもてなしにエアマイクで感謝を表した姿と分かった。

▽唯々諾々と従う

 こうした写真はネット上でも注目を浴び、海外では「日本政府がなぜ、ホワイトハウスにこの写真掲載を許したのか理解できない」などと指摘された。イタリア政府、、メローニ氏の毅然たる態度とは対照的だ。

 対照的と言えば、米海軍佐世保基地配備の強襲揚陸艦トリポリと、沖縄県に駐留する米海兵隊の即応部隊を含む2500人がペルシャ湾周辺へ派遣されたが、この派遣について日米間に事前の協議、通告はあったのか。これに関し国会やマスコミ報道でも全く論議が見られないのが不思議だ。北大西洋条約機構(NATO)加盟国のイタリアと、日米安保条約に頼る日本とで軍事的な環境は違うが、「トランプの米国」に唯々諾々と従うことの危うさが危険水域に達している。

▽北爆推進のルメイ氏の脅し文句まねる

イランを石器時代に戻してやる」と述べた。「石器時代に戻してやる」というのは、米国の高官が用いる脅しの常套句で都市インフラなどの破壊を意味する。ベトナム戦争で空軍参謀総長だったカーティス・ルメイ氏が「北ベトナムを石器時代に戻してやる」と豪語して、北爆を推進したことにさかのぼる脅し文句。

 ルメイ氏は1945年に日本本土への焼夷弾による都市爆撃の指揮を執ったことで知られる。3月10日の東京大空襲では死者10万5400人、負傷者15万人以上に上った。余談だが日本政府はこのルメイ氏に1964年に、最高位の勲一等旭日大綬章を贈っている。航空自衛隊の創設に尽力したというのが理由。

 トランプ氏は3月31日~4月2日に予定していた中国訪問、習近平国家主席との会談をイランとの交戦を理由に延期していたが、5月14、15日に再設定した。何としてもそれまでにイラン攻撃の目標を達成したとこじつけられる戦果を挙げることに必死だ。
                                        (了)