「検察庁法改正案」ネットで抗議広がり国会前ではデモ 俳優ら著名人が多数がツイート 今国会成立断念に追い込む

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 新型コロナウイルス禍の中、安倍政権が内閣の判断で検察官の定年を延長できるようにする検察庁法改正案の成立を強行しようとしていることに対し、抗議の声が広がった。会員制交流サイト(SNS)のツイッター上では検察庁法改正に抗議を示す著名人らのツイートが相次いだ。また国会前でも、新型コロナ禍でも、少人数ながら抗議の声を上げる人たちがいた。

 世論の反対の声が高まる中、政府・与党は18日、検察庁法改正案の今国会成立を断念した。安倍晋三首相が自民党の二階俊博幹事長と官邸で会談し、改正案に関し、国民の理解なしに前に進めることはできないと確認した。安倍政権は世論の高まりに屈したのだ。

芸能人らがツイートで抗議の声

 「#検察庁法改正案の強行採決に反対します」というハッシュタグ(検索目印)を付けた投稿には、俳優の小泉今日子さん、歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさん、タレントのラサール石井さん、さらに政治学者の白井聡氏らが参加した。

 毎日新聞によると、東大大学院の鳥海不二夫准教授(計算社会科学)の調査では、8日午後8時から11日の午後3時までの間に「#検察庁法改正案に抗議します」はリツイートを含めて473万2473件、ツイートに限ると56万4797件の投稿があった。ツイート、リツイートに関わったアカウントの総数は計58万8065。このうち、ツイートしたアカウントは約32万で、そのうち約8割の約25万アカウントは1回しか投稿していなかった。つまり、ボット(自動投稿プログラム)が繰り返し多数の投稿をしたという推測は成り立たないという。

 コロナ禍により、緊急事態宣言が出されて自宅自粛の要請が東京などで続く中、路上での抗議デモを行うのは難しくなっている。そうした状況でツイッターを使っての抗議運動は、「コロナ禍」の新たな抗議運動の手段として注目される。

国会前での抗議デモは10人ほど

 ツイッターで多数の抗議が寄せられていると聞き、14日に歴史的瞬間を記録しようとマスクを着けて〝命がけ〟で国会前を訪れた。だが、抗議運動をする人はわずかだった。
 緊急事態宣言の下、外出自粛の要請が出ている中、14日夕刻、集まったのは千葉の指圧師(36)、名古屋の運送会社に勤める男性(67)、徳島から映像を発信するユーチューバーの3人、それに東京の女性ら。合せて10人ほどが「検察庁法改正案に抗議します」などのプラカードを掲げてひっそりと国会に向かって立っているだけだった。中には「アベヲタイホ」と書かれたプラカードも。取材は民放テレビ局の記者が一人。あまりにも寂しい光景だ。日没とともに名古屋から上京したという男性に誘われ、永田町を後にした。

浅草の踊り子もデモに参加


 15日は、国会前に立った茜さんから報告をもらった。彼女は浅草を拠点にした踊り子としても有名だ。

 「今日の国会前は2時頃は30人くらいでしたが、今は大勢、200人くらいはいるでしょうか。お昼は、きのう新藤さんと一緒にいらした男性が酔っ払ってました」

 「今から若者が仕切りで集会が始まるようです。昨日は少なかったですね。官邸前の5・15(沖縄復帰48年の集会)は150名くらい集まりました」


 「7時から8時は人間で議事堂を包囲するということで、間隔をあけながら人が立って、官邸前からぐるっと衆議院議員会館の方まで囲んだと主催者発表でした」

 国会前のデモ参加者はわずかだった。それでもこのデモが今後、拡大していく可能性がある。ツイッター上で最初に、「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグ(検索目印)を付けて投稿したのは30代の女性だった。たった一人の女性のツイートが大きな渦となっていった。それと同じように国会前のデモもコロナ禍にめげず、渦を巻き起こすかもしれないのだ。

「森隠し」

 一方国会では、同法案に反対する野党が政府側は追及した。与党は森雅子法相を内閣委員会に出席させず、野党からは「森隠し」と批判された。15日の衆院内閣委員会に、森法相がようやく出席したが、政府は検察官の定年延長を認める基準を説明できないなど、野党側の追及にまともに答えられなかった。
 森法相は3月9日の参院予算委でも「(2001年3月の)東日本大震災の時、検察官が福島県いわき市から最初に逃げた」など発言。「これが法務大臣!」、「この人は弁護士なの?」と物議をかもした。

浪江町で森法相に会う


 実は、当の森法相とは2019年3月11日、土砂降りの中、福島・浪江の牧場で会ったことがある。牧場主で浪江町町議会議長だった山本幸男氏が後援会会長だ。山本氏の牧場には昔から小泉純一郎父子や東京電力首脳も訪れる地元名士で、「3・11」後、小生も定期的に撮影を続けている。だが大変失礼ながら派手な姿の森法相が米国仕込みの弁護士であることを知らなかった。山本氏は、森法相の本名は三好雅子で、夫の三好豊氏も国際弁護士だと話した。

 稲田朋美議員同様、安倍首相お気に入りの森法相は特定秘密保護法担当相として同法の成立に貢献していた。だが検察庁法改正案を巡ってぶざまな姿をさらけ出した森法相は、安倍政権が今国会で法案成立を断念せざるをえなくなったもう一つの「要因」だったのかもしれない。。

 安倍政権は検察庁法改正案の成立をあきらめたわけではない。世論が鎮静化した秋の臨時国会での成立を狙っているのだろう。極めて狡猾なのだ。だから、改正案を完全に廃案に追い込むまでは、ツイートで抗議の声を上げ続け、国会前で一人でも抗議デモを続けていく必要があるのだ。。