自民党は、派閥の政治資金パーティー裏金事件で、関係議員ら39人の処分を決めた。安倍派座長での衆院側トップだった塩谷立元文部科学相と、安倍派参院トップの世耕弘成前参院幹事長を離党勧告とし、同派幹部を務めた下村博文元文科相、西村康稔前経済産業相に党員資格停止1年を科した。岸田派会長だった岸田文雄首相と、二階派を率いた二階俊博元幹事長は処分対象から外した。裏金の使い道など実態解明もされていない。この処分で真相解明を放置し、幕引きを図ってはならない。岸田文雄首相の政治改革への決意が疑われよう。連綿と続く自民党の腐敗体質。日本の政治は地盤沈下し、議会制民主主義が危機に直面している。日本の命運をかけた政治改革を断行できるかどうか、今問われる。
鉄は熱いうちに打て
政治改革論議と言えば、政治資金改革に特化しているようだが、今こそ必要なのは根本的な改革だ。そのためには総合的に改革しないと元の木阿弥になりかねない。根本的な改革を実行するうえで大事なのは、この好機を逃さず鉄は熱いうちに打つことだ。
自民党は、公費による政党助成制度も導入して、金権政治と決別したはずだった。だがパーティー開催などの抜け穴をつくり、企業・団体から組織的、継続的に金を集めた。政党助成金は2023年は315億円で、自民は159億円、旧NHKから国民を守る党(現みんなでつくる党)でさえ3億3000万円ももらっている。何もしなくてもらえるので、選挙向けのパフォーマンスだけやっている感じだ。共産党は拒否していてその分は、他党で山分けしているが、国庫に戻すべきだろう。経理をしっかり公開していない党にはこの配分を減らすべきだ。
会計責任者だけ立件は不自然で不公正
30年前の議論では、企業・団体献金は政党助成金が出るので廃止していく方針だった。政党助成金があるのだから、パーティー券も廃止していくなど、どちらかにしぼる議論が必要だ。会計責任者だけが立件され政治家の事務総長が立件されないというのも不自然であり、不公正だ。連座制は不可欠だ。
多様化に対応するためには、女性議員だけでなく、例えば身障者代表の議席や若者の枠を制定する必要がある。
税務調査しない国税庁
国税庁は、政治家は社会全体のために奉仕しているという理由で、税務調査は全くと言っていいほどしていない。政治家への税務調査をして不公平感をなくすべきだ。市民はきちっと消費税や所得税を納めているのだから、政治家はもっと国民の指標にならないといけない。政治家の恩典は廃止して市民と平等にしていくことを岸田政権は打ち出すべきではないか。
歴史的転換期
フランスでは導入しているが、女性議員の少ない政党は、政党助成金を減らすなど、政治資金改革を奇貨として政治全体を大きく見直すべきだ。今は、百年に一度の歴史的な転換期なのだ。
(了)