安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選に立候補を表明した菅義偉官房長官。14日投開票の総裁選は、菅、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長の選挙戦となる。だが、既に党内7派閥のうち5派閥が菅氏支持に回り、菅が優勢となっている。
「山積する課題に挑戦」と菅氏
菅は立候補表明の記者会見で、新型コロナウイルス対策と経済活動の両立を打ち出し、憲法改正や景気回復など「山積する課題に挑戦したい」と訴えた。「分断から協調へ」を打ち出す岸田は、持続可能な経済、地方重視、憲法改正を盛り込んだ政策集も発表した。「納得と共感」を掲げる石破は、地方創生や憲法改正、安全保障など「今までの政策とどこが違うのか議論したい」と意気込んだ。
「アベ政治」行き詰まり辞任と認識
菅は早くも「アベ政治を継承する」と言っているが、これはどうみてもおかしい。持病悪化を理由に辞任表明した安倍だが、コロナ禍対応をはじめ、アベノミクス、拉致問題、貧富の格差などの雇用状況、北方領土、待機児童問題など内政外交政策の多くが行き詰まり、ギブアップして辞任したと認識している。評価すべきことはあまりないのに、菅は「アベ政治を引き継ぐ」というのはどういうことなのか。「アベ政治」や経済を総点検、総検証すると言わなければいけないだろう。
日本を奈落の底に落としかねない
そのために人心の一新が欠かせないが、菅政権ではどうやら官邸の秘書官など骨格はそのままらしい。甘利明自民党税制調査会長、下村博文自民党選対委員長、加藤勝信厚労相らは要職入り、そこに河野太郎防衛相、小泉進次郎環境相、小渕優子元経済産業相らを配して早期総選挙態勢をつくるらしい。アベ政治の継承とは、まさに日本及び日本人をさらに奈落の底に落とそうということになりかねない。
「君子は本を務む。本立ちて道生ず」(論語)だ。
(敬称略)