アフガニスタン内戦、タリバンが勝利(3) 首都カブールで初の国際記者会見 カルザイ元大統領とも会談し、支持求める 

投稿者:

 8月15日にガニ大統領が政権を放り出して国外に逃れた首都カブールに、タリバンの部隊が”無血入城“した。タリバンを恐れた472万人の市民のうち、数千人が国外脱出を求めてカブール空港に詰めかけたが、航空機に乗れた市民はごくわずかだった。

 市内に入ったタリバンは、部隊を展開し、治安の回復に努めた。そして17日、政府の報道センターで内外の記者数十人を集めて、初めての国際記者会見を開いた。米CNNなど国際的TV局が全世界に中継、日本を含め各国の通信社、TV局、新聞社が速報した。
 記者会見の応答役は、タリバン幹部の報道担当、ザビフラ・ムジャヒド氏。内外の現地記者には名前は知られていたが、本名かどうか、その経歴などはわからない謎の人物だ。しかし、内外の記者たちの鋭い質問を裁く手腕は、なかなかだった。

女性の地位に質問が集中

  記者会見では、女性の地位に質問が集中した。1996年~2001年の前タリバン政権下では、女性が外出するときには、頭からすっぽり覆うブルカが強制され、通学などには男性の同伴が義務付けられるなど、女性の地位と権利がひどく奪われていたからだ。

 それに対してムジャヒド氏は「女性にかかわる問題はとても重要だ。イスラム法の範囲内で、女性の権利を尊重する。男女同権だ。われわれのルールや制限の下で、女性は様々な活動ができる。教育や保健分野などだ」「一定の枠内で働き、学ぶことができる」と答えた。

 イスラム法は、巨大な法体系だ。イスラム法を持ち出しても、具体的な問題に多様な回答ができる。大部分のイスラム諸国の法源はイスラム法だが、国々の法律も行政も多様だ。

 旧政権時代とは異なる政治・行政・国際関係に

 これからアフガニスタンを支配するタリバン政権は、20年以上前のタリバン政権とは大きく異なる政治・行政・国際関係になるだろう。

 その手始めにタリバン指導部は18日、2004年~14年に大統領を務めたカルザイ氏と会談した。支持を求めるとともに、新たな政権作りを協議したとみられている。タリバン指導部は、どのような政権を作ろうとしているのか、上下両院の議会をどうしようとしているのかはわからない。タリバン指導部は、これまでの政治制度を維持しようとしているのではないか。

 タリバン政権にとって、さらに重要なのは、財政と国際関係だ。この二つは結びつき、絡まりあっている。アフガニスタン政府の財政は、6割以上を国際的な支援に依存している。独自の収入源は、世界最大の麻薬のケシの輸出だが、政府の収入にはならず、タリバンの資金源になっているという。タリバン政権の前途は多難だ。
(了)