<安倍元首相銃撃>安倍元首相はなぜ遊説先を急きょ、長野から奈良に変更したのか 長野の自民候補が週刊誌報道で失墜 警備計画には疑問が残る

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 7月の参院選のさ中に起きた安倍晋三元首相の銃撃事件。筆者が住んでいる長野選挙区は元テレビキヤスター、ローカルタレント、元 ボクサーら多彩な候補6人が1議席を争った結果、青森選挙区と共に立憲民主党の現職候補 が元ローカルタレントの自民党候補を破った。

週刊誌報道で選挙情勢変わる

 当選した元TBSキャスターの杉尾秀哉氏は 2期目の挑戦で、県内を二巡するなど序盤戦では優勢を伝えられていた。ところが知名度で は上回るタレント候補が徐々に追い上げ、終盤戦ではタレント候補が師と仰ぐ歌手の松山千春氏や岸田首相も応援に駆け付けるなど、ついに横並びないし優勢に。

 それが逆転したのはタレント候補の過去スキャンダルだった。投票日(7月10日)の5, 6日前に店頭に並んだ週刊現代が同候補の不倫を、週刊新潮が900万円の借金踏み倒し をそれぞれこのタイミングで報じた。

 実は安倍晋三元首相は凶弾に倒れた8日は奈良ではなく、激戦を続けているタレント候補を 応援するため長野に来る予定だった。急きょ、変更した理由について安倍陣営は明らかにして いないが、この週刊誌報道であることは間違いない。「これでタレント候補は負ける」と判断、急きょ、これも当落線上にある奈良の候補応援に変えたのだろう。

 予想通り杉尾氏がタレ ント候補を約5万7千票上回って当選した。タレント候補は落選後、過去のスキャンダルを 認め、応援してくれた有権者や自民党、そして家族に謝罪した。

 いずれにしても週刊誌スキャンダル報道がなければタレント候補の優勢は変わらず、安 倍元首相も予定通り長野で遊説しただろうし、奈良へは行かなかったはずだ。

旧統一教会のため一家破滅し恨みと自供

  事件後、山上徹也容疑者が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に恨みを抱いていたことについて奈良県警が「本人の思い込み」と、何度も繰り返えしていたことに会員が疑問を提起していたが、同感である。「思い込み」とは何を指すのか。旧統一教会なのか、安倍氏が旧統一教会と深い関係があった、ということなのかはっきりしない。だが山上容疑者は、犯行動機について母親が旧統一教会に1億円もの金を注ぎ込み、そのため一家が破滅したことを恨んだことと当初から自供していたことは間違いないだろう。なぜ自供内容を早く公表しなかったのか疑問が残る。

 当日の要人警護についても触れたい。テレビの映像を見る限り安倍氏の警護にして はやや手薄だったかなと思う。 警察庁は現職首相と元首相の違いと言う。岸田首相が長野市に応援/演説に来た7月4日、所用で演説前にJR長野駅前の会場を通りかかった。「何事が起きたか?」と思わせる ように、黒背広の男たちと黄色いシャツの自民党関係者たちでいっぱいで、奈良の安倍氏銃撃の現場とは大違いだった。と言っても警護も国民の税金を使うもの。予算や人繰りにも限界がある。安倍陣営が奈良県警に8日の遊説を連絡してきたのは前日夜7時ごろという。それから急きょ、警護計画を立てなければならなかった事情も考慮しなければならないだろう。

政治評論家の驚くべき発言

 事件当日の奈良県警の記者会見は刑事部長、捜査一課長らが行ったが、鬼塚友章本部長がいなかったこともおかしいとの指摘もある。鬼塚本部長は翌9日になって会見、「痛恨の極み」と言っていたが、彼は元警察庁警護室長も務め ている警備警護のベテランだ。自ら当日の警備計画をきちんとチェックしていたのか疑問 が残る。

 事件後、時事通信政治部OBの政治評論家が「遊説の政治家は命を懸けている。警官ももっと・・」と発言していたのに驚いた。政治家と警察官は違う。警察官は純粋な職業人だ。 警官も万一の場合は命を顧みずに要人をかばえ、と教育されているようだが、警官の命より 政治家の命が上なのか。要人の警備がこの事件を契機に今以上に厳しくならないように願 う。