福島第1原発事故の記録と教訓を後世に伝える「東日本大震災・原子力災害伝承館」(福島県双葉町)が20日開館された。震災から9年半となった9月11日、開館直前の施設を訪れた。JR常磐線双葉駅から東、太平洋岸に面した広大な帰還困難区域に横長の巨大な工場のようなビルが現れた。駐車場の片隅にそっけない「伝承館」の大看板があった。
【伝承館のホームページ】
東電や国に忖度したハコモノ
24万点の資料を集め、ボランティアの語り部が被災体験を伝承するとうたっているが、その実態はお粗末の極み、というより東電や国に忖度した業者がハコモノだけを作り原発事故の恐ろしさを伝えたいという気持ちなどサラサラないのだろう。
リアルな資料はろくになく
ガランとした吹き抜け状の展示会場は時系列に六つのエリアで構成。津波で曲がった道路標識や、旧原子力災害対策センター(オフサイトセンター)のホワイトボードなど150点あまりを展示している。だがリアルな資料はろくに展示されていない。自慢のシアターではアニメを交えた記録映像を大型スクリーンで投影することだけだ。
「語れない『語り部』」
23日付の朝日新聞朝刊は「語れない『語り部』」「『被害者の私たち 東電や国批判できぬのか』」「事前に内容添削」などの見出しで社会面トップで報道。伝承館が「館内で活動する語り部が話す内容について『特定の団体』の批判などをしないよう求めている」ことがわかり、「県によると、国や東京電力も対象だといい、語り部から戸惑いの声があがっている」と伝えた。
同紙によると、資料収集を含め53億円の事業費は国が実質全て負担。国の職員も出向する公益財団法人「福島イノベーション・コースト構想推進機構」が管理、運営する。語り部は養成講座の参加者や経験者から選び、現在29人を登録。原発事故で長引く避難生活や津波で自宅を失った経験などについて語る。1回の口演につき最長1時間ほどで、1回あたり3500円が支払われるという。