<自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件 クロノロジー>第2回 政治資金改正法が可決、成立 政治資金規正法改正の与党案を「評価しない」79.7% 衆院で賛成の維新も反対に 内閣支持率は22% 自民党支持率が2001年以来最低の19% 麻生派の衆院議員や横浜市議らが首相の退陣論に言及 

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 ≪2024年5月≫     

2日    東京地検特捜部は萩生田光一前政調会長ら安倍派幹部8人を不起訴とする。

4日    岸田首相がブラジル・サンパウロでの記者会見で「(裏金問題の)再発防止が喫緊の課題で、今国会中の改正に全力を挙げる」「それ以外のこと(衆院解散)は現在考えていない。(日本時間5日)<補選全敗後の4月30日は「全く考えていない」としていた>

裏金を受け取た議員44人の審査

6日 岸田首相が帰国し、自民党政治刷新本部の鈴木馨祐、大野敬太郎両衆院議員に対し、公明党との調整を急ぐよう指示。

7日 自民、公明党が政治資金規正法改正について協議を再開。①パーティー券の公開基準②政策活動費の透明化―が焦点。/野党4党国対委員長が、裏金を受け取っていながら衆院政治審査会で弁明していない議員44人の審査を申し出る方針で一致。

8日 自公協議を継続。

与党案を作る前に野党と協議をと公明

9日 自公幹事長が政治資金規正法改正の与党案で「大筋合意」と発表。①パーティー券購入公開基準(現行20万円)の引き下げ<額は示さず>②政策活動費は、政党から支払いを受けた政治家が使途を報告し、党が政治資金収支報告書に記載する③「その他の政治団体」(規制が緩い)が1000万円以上の資金移動を受けた場合、その支出を透明化する。

10日  安倍派会計責任者・松本淳一郎被告に対する初公判。/岸田首相が「まずは自民党として条文化作業に全力を挙げ、公明に示し、野党の意見も聞いていく」と述べる。<自民単独での条文化作業を優先する考え>

11日  公明党の山口那津男代表が、与党合意について「直ちに全て法案化できるレベルには至っていない」「与党だけでなく野党の意見も聞きながら合意形成を進めていくのが望ましい」と指摘。<与党案を作る前に野党と協議すべきとの考え>

「与党案は小粒で中身がない」と立民代表

12日  自民党の規正法改正の実務を握る鈴木馨祐氏がNHK番組で「(裏金)再発防止と自民党の力をそぎたいという政局的な話がごっちゃになっている」と発言。野党は反発。/森山総務会長は「与党で協議していくことが大事だ。与党案として野党とも協議していく」と語る。<自公共同案づくりを優先>

13日  立憲民主党の泉健太代表は「与党間のごたごたを見せて、あたかも厳しい議論をしているとの見せかけだ。与党案は小粒で中身がない」と語る。

立民と国民が政治資金規正法改正案を共同提出

14日  共同通信世論調査によると、政治資金規正法改正の与党案を「評価しない」が79.7%。岸田内閣支持率は24.2%(前回比0.4%増)と横ばい。<11~13日実施>

17日  改正案をめぐる自公協議が決裂⇒自民党が単独で政治資金規正法改正案を国会提出。パーティー券購入者の公開基準額は「10万円超」とした。

19日  岸田首相が山形での車座対話に出席し、「この国会中に法改正を実現すると約束させていただいている」と発言。/小田原市長選で、河野太郎デジタル相と小泉進次郎氏が応援に入った現職が負ける。

「薄っぺらい改正案」と野党批判

20日  読売新聞世論調査によると、政治資金規正法改正の自民党対応について「評価しない」が79%。内閣支持率は26%と横ばい。<17~19日実施>/衆院予算委員会で政治資金規正法改正案の集中審議。岸田首相は、野党から「薄っぺらい改正案だ」など集中砲火を浴びた。/立憲民主党と国民民主党が政治資金規正法改正案を共同提出。①政策活動費を禁止②政治家の連帯責任を問う「連座制」の導入。

22日  日本維新の会が政治資金規正法改正案を国会提出。/衆院政治改革特別委員会で各党が政治資金規正法改正の5法案の趣旨説明。

23日  衆院政治改革特別委員会で政治資金規正法改正案の初質疑。

立民の岡田幹事長らが政治資金パーティー開催中止

24日  自公間の調整で、政治資金パーティー券購入者の公開基準について「3年後を見直す」との規定を導入することを検討。<公開基準の「10万円超」はそのままで、立民からは「実質先送り」と批判される。維新も「信じがたい」と反発> / 立憲民主党幹部が政治資金パーティー開催を予定していることに対し、与野党が立民に集中砲火。しかし岡田克也幹事長は、予定している政治資金パーティー開催方針を変えないと強調。

25日  立憲民主党の岡田克也幹事長、大串博志選対委員長ら幹部が、予定していた政治資金パーティー開催を中止。<禁止を求めながら、法改正までは開催するのは「言行不一致」と与野党から批判を浴びていた>

地方選で自民推薦の候補相次ぎ敗北

26日 静岡県知事選で自民党推薦の副知事が野党系の元浜松市長に敗北。/岸田首相の地元・広島県府中町長選で首相の長男が応援に入った自公推薦の前町議が敗北。/欠員2の目黒都議補選で自民党が議席得られず。

27日  自民党旧安倍派の菅家(かんけ)一郎衆院議員が、政治資金パーティー収入の不記載額を自分名義の政党支部に全額寄付し、所得税の税額控除を受けていたと記者会見で明かす。<稲田朋美衆院議員ら他の議員にも同じ手口での節税策が判明>/立憲民主党が執行役員会で、政治資金パーティー開催自粛を決定。

「同じ穴のムジナ」と公明党批判

28日  与野党の修正協議がスタート。野党や公明党が自民党案の修正を求める。<自公間の裏交渉では「3年後見直し」で打開図る>/公明党は修正を条件に賛成の方向を打ち出す。⇒立民の泉健太代表は「同じ穴のムジナとの批判は免れない」と公明党を批判。

29日  自民党が1回目の修正案を提示。①政策活動費の公開対象に支出の「年月」を追加、②法施行後「3年をめどに見直し」の規定<公明党主張>を追加。<この時点で、公明はまだ納得せず>/岸田首相が自民党の麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長と和食料理屋で会食。麻生、茂木両氏は「5万円超では党内が持たないですよ」とクギを刺す。

麻生氏が岸田首相に「5万円超」としないよう進言

30日  麻生氏が岸田首相に電話し「5万円超」としないよう強く進言。茂木氏も「党首会談はやらない方がいい」と求めたが、岸田首相は林芳正官房長官、木原誠二自民党幹事長代理と協議し、公明、維新への譲歩を最終決断。<後ろ盾である麻生氏との関係が傷つく>/公明党の山口那津男代表が党中央幹事会で「5万円超」の主張について「変えるつもりはない」「そのまま賛同できない。透明化を図る思い切った決断を求めたい」と訴えた。

31日  岸田首相が公明党の山口代表、維新の会の馬場代表とそれぞれ個別に党首会談。①パーティー券購入者の公開基準を「5万円超」とする②政策活動費の領収書を「10年後」に公開―と両党の要求を受け入れ。⇒公明、維新とも改正案に賛成の意向を表明。/党首会談を受けて、自民党が2回目の修正案を提示。①パーティー券購入者の公開基準を2027年1月から「5万円超」に引き下げ②政策活動費の支出をチェックする第三者機関の設置<以上、公明党主張>③政策活動費の領収書を「10年めど」に公開<維新の主張>―などの規定を追加。

安倍派の資金還流復活は下村氏の要求と共同が報道

≪2024年6月≫

2日 熊本日日新聞が、裏金事件で2022年の安倍派の資金還流復活は、下村博文氏が要求したことだと報じる。<共同通信の特ダネ記事の掲載>/東京都港区長選で自公推薦の現区長が敗戦。

4日 朝日新聞が「今国会の解散見送り/首相 支持率低迷で判断/9月の再選戦略に影響」と報じる。/自民党が3回目の修正案を提示。維新の反発を受けて、政策活動費の公開対象「50万円超」を削除し、全面公開することにした。/衆院政治改革特別委員会で岸田首相への質疑。/青森市での自民党車座対話で青森県議が「今の首相では厳しい。総裁選で顔を変えるべきだ」と発言。

5日 各紙が「会期末の衆院解散見送り」を後追い報道。

「第三者機関」の設置時期「現時点で申し上げるのは難しい」

6日 政治資金規正法改正案が衆院本会議で可決、衆院通過。賛成は自民、公明、維新、教育無償化を実現する会。反対は立民、共産、国民、れいわ、社民。/菅義偉前首相、萩生田光一前政調会長、加藤勝信元官房長官、武田良太元総務相、小泉進次郎元環境相がすし屋で会合。/横浜市議が「政治資金規正法改正のめどがついた今、総裁自ら身を引く苦渋の決断をし、強いリーダーシップのとれる新進気鋭の総裁を選ぶべきだ」と発言。

7日 参院政治改革特別委員会で政治資金規正法改正案の趣旨説明で審議入り。

10日  政治資金規正法改正案の参院政治改革特別委員会審議が本格化。/岸田首相は参院決算委員会で、「第三者機関」の設置時期について「現時点で申し上げるのは難しい」と述べる。 /長野での車座対話で長野県議が「国民に見える形で執行部を変えてほしい」と発言。

「うそつき内閣」と維新が批判

11日  岸田首相ら自民党側が、旧文通費(調査研究広報滞在費)の使途を公開する法改正の今国会実現に消極的なため、日本維新の会の馬場代表が「うそつき内閣と言っても過言ではない」と批判し、政治資金規正法改正案への参院段階での反対を示唆。<旧文通費が新たな火種として浮上>/自民党の浜田靖一国会対策委員長は「(旧文通費の今国会での改正は)日程的に難しい」との見通しを示した。

13日 日本維新の会の馬場伸幸代表は、岸田首相との合意文書原案に「今国会中に決着を図ると入っていたが、自民党が『信用してほしい。期日は外してくれ』というから外した」と交渉経緯を暴露して、自民党を批判。

14日 自民党の森山裕総務会長と渡海紀三郎政調会長が協議し、日本維新の会が反発している旧文通費問題への対応に苦慮。/自民党の麻生副総裁が茂木幹事長と会食。

15日 岸田首相がイタリア南部プーリア州での先進7カ国首脳会議(G7サミット)後の記者会見で、衆院解散について「今は考えていない」と表明。旧文通費に関する日本維新の会との党首間合意について「重たいものだ。誠心誠意対応したい」とだけ述べた。

16日 麻生派の斎藤洋明衆院議員が首相の退陣論に言及(新潟県新発田市で)

政治資金改正法が可決、成立

18日 朝日新聞世論調査によると、内閣支持率は22%(2ポイント減)。自民党支持率19%は2001年以来で最低(過去の最低は麻生内閣時の20%)。/参院政治改革特別委員会で政治資金規正法改正案を可決。/岸田首相と麻生副総裁が会食。

19日 改正政治資金規正法が参院本会議で自民、公民両党の賛成多数で可決、成立。立民など野党各党は反対。衆院で賛成した日本維新の会も反対に転じた。

                              (了)