アフガニスタンのタリバン暫定政権が発足してから4カ月近くが過ぎた。政権最高指導部は3日、女性の権利に関する行政命令を発表し、すべての関連機関、組織、ウラマー(イスラム教指導者)、裁判官たちに伝達した。暫定政権の最高指導部は、女性の人権問題が、米国をはじめ西側主要国による国家承認、支援の大きな妨げになっていることを十分知っており、この行政命令を急いだに違いない。
女性の人権問題が支援の妨げと認識
パンジュワク通信社が3日に伝えた、女性の権利に関する行政命令の要点を紹介しよう
(同通信社は、アフガニスタン最大の通信社(文末に紹介)。タリバン政権下の制約はあっても、公正に・中立に、アフガニスタンの現状を、世界に向け報道している)
- 結婚には成人女性たちの同意が必要(結婚する双方は対等)。誰も女性に結婚を強制、圧力をかけてはならない。
- 女性は所有物ではなく、高貴で自由な人間である。誰も平和的な交渉で女性を交換したり、憎悪を終わらせるために他人に女性を提供してはならない。
- 夫の死後、シャリアアダト(4か月と10夜)あるいは妊娠期間が過ぎても、彼女を平和的な交渉事や憎悪を終わらせるために、利用してはならない。
- 夫の死後の女性が再婚して、新しい夫からマハール(坂井注:現地用語?)を受け取るのはシャリア(イスラム法)上の権利である。
- 未亡人には相続権があり、夫の遺産から規定されている分を受け取り、夫の父親、子供たち、親戚はじめ誰も、彼女の権利分を減らすことはできない。
- 一人以上の女性と結婚している男性は、シャリア(イスラム法)に基づき、それらの女性たちすべてに正しく遺産を分配しなければならない。
以上の行政命令を実行するため、関係機関に以下の指示を下すー。
- ハッジ・宗教問題省に対し:学識者たちが、女性の権利について、人々が認識をもっと深めるように、抑圧された女性たちが与えられるべき権利を与えられないならば、アラーは不満であり、アラーに苦しみと怒りをもたらすことを、文書や説教によって示すよう、力づけなければならない。
- 情報・文化省に対し:現存する女性に対する抑圧を取り除くため、またシャリア(イスラム法)上の女性の権利について、ウラマ(イスラム教導者)と一般市民に有益な出版物とオーディオ普及を進めなければならない。
- 最高裁判所はすべての裁判所に対し、女性特に寡婦の権利とその抑圧に配慮し、女性たちが抑圧を乗り越え、シャリア上の権利を獲得できるよう、指示しなければならない。
- 中央、地方の長は、以上の指示を実行するため、ここに明記した各省、最高裁判所と協力しなければならない。
▼パンジュワク通信社について
アフガニスタンの現状を世界に伝える同英語版のWikipediaは、次のように紹介しているー
「アフガニスタン最大の通信社。本社はカブール、地域支局が8か所、全国にあり、全国的に取材記者を配置している。毎日40本前後のニュースを英語、アフガニスタンに通用するペルシャ語のパシュトン語、ダリ語を使用、写真、ビデオ、音声録画を国際通信社、テレビ、ラヂオで発信している。経営するのはパジュワク・ニュース(PAN)社で、政治的な影響はどこからもないと主張している。設立者はデンマーク人のKarokhel 氏。パジュワクはパシュトン語、ダリ語で反射、反響を意味する。」