コラム「政治なで斬り」「安倍首相、連続在任最長」 政治改革の「負の遺産」の鬼っ子 保守勢力の復活・温存もたらした小選挙区制の歪み  

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Photo by Ken Shindo

 安倍晋三首相は24日、第2次内閣発足からの連続在職日数が2799日となり、歴代最長の大叔父の佐藤栄作元首相を抜いて単独1位の新記録を打ち立てた。首相の記録づくりとして政治史の一齣に刻印されるのだろうが、この長期政権のもとで一般国民に何が残るのだろうか。

偉大なる「空砲」政権

 「在職日数」以外に記憶にとどめられる実績はあるのだろうか。思い浮かべても内政も外交も目標を打ち上げ、いかにも実現への挑戦姿勢は際立たせてきたものの、大半の事績は「道半ば」で終わってしまいそうだ。偉大なる「空砲」政権の命脈を支えたのは何だったのだろうか。

 極論すれば、小選挙区制度と内閣・官邸中枢への一極集中をもたらした1990年代からの政治改革が生んだ「負の遺産」の鬼っ子だったと言わざるを得ない。野党勢力の分裂と弱小化、安倍政権補完の役割を続けている公明党との20余年にわたる連立維持も要因に挙げられるのだろう。

長期政権継続の「秘訣」

 保守勢力の復活・温存をもたらした小選挙区制度の歪みが大きい。御厨貴・東大名誉教授は「政治家がスキャンダルで批判を浴びても、次の選挙ですべてチャラにしてくれるような現職有利の選挙に救われている」と、安倍政権がこの妙味を巧みに利用して公認権を一手に握り選挙に勝ってきたことが、長期政権継続の秘訣と指摘している。

 この選挙制度の生みの親の一人、後藤田正晴元官房長官は選挙制度に歪みがあることを意識していたかどうかわからないが、「政治改革は道半ば三合目だ」という「悔恨」の言葉を残している。後藤田氏は自民党長期政権の復活をかけて、あえて制度の悪弊に目をつぶったのではないかと思われる。

長期政権の実像

 だが、結局は政治改革の道行き、二大政党制時代の到来も一睡の間に消え去り、自民党以外の政党の分裂・弱体化に拍車をかけ、改革とは真逆の金権選挙や汚職政治家の温存をもたらしてしまっているのが現状だと言える。

 森友、加計両学園問題、桜を見る会、辞任閣僚の任命責任の棚上げなど、政権トップ自ら疑念、疑惑をもみ消すような言動に終始し続けた。新型コロナ対応では、国民への給付金10万円などを巡り政府方針が混乱し、布マスク配布も「アベノマスク」とやゆされて不評を買い、首相の指導力が問われた。こうしたことがこの政権の実像だ。そして健康不安説がこうした状況に追い打ちをかけている。24日には再び慶応大病院(信濃町)に入った。17日に続いて2週連続で、体調不良説がさらに広がっている。