「安倍首相辞任表明」批判と課題残し盤石の権勢潰える 後継総裁選びで論議 課題山積に対応できるのは 

投稿者:

 またも持病による任期途中での突然の辞任だった。7年8カ月の長期政権の末に辞任を表明した安倍晋三首相。連続在職日数の最長記録の更新を続け、一時は「安倍1強」と呼ばれる盤石の権勢を誇った。だが新型コロナウイルスの感染拡大に有効な対策をとれず、批判が噴出。経済、外交の金看板が色あせ、首相自身の体調をもむしばんでいった。

密室の総裁選びは避けるべき

 安倍氏の退陣表明を受け、自民党各派閥は党総裁選に向けて準備に入った。党内では菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長を推す声があり、この3氏を軸に候補選びが進む公算が大きい。

 だが今までのような密室で後継総裁を決めるようなことをしてはならない。二階俊博幹事長は、国会議員と各都道府県連3票による投票で実施する方針を固めたようだ。党員・党友の投票は省略し、党大会に代わる両院議員総会で選出するという。だが党内には党員・党友による投票を求める声もある。

右派との関係をどうするのか

 まず右派勢力との関係をどうするか。「アベ政治」は支持率と株高と改憲で右派を組み入れて、アベノミクスなど課題を次から次に掲げてきた。しかし、いずれも道半ばというより掛け声倒れになっていた。

皆が議論できる雰囲気を

 1960年、安保闘争と差し違えで倒れた政治路線の岸信介元首相の後任に選ばれた池田勇人氏は、所得倍増論をひっさげて岸氏の政治路線をうまく経済路線に切り替えた。安倍氏が食い散らかした今は、景気後退、財政赤字、少子高齢化、貧富の格差拡大、非正規社員の増大、日中や日韓問題といった課題が山積している。これらをすべてをまとめられる人物はいるだろうか。不穏な情勢に陥り、不満分子によるテロなど陰惨な事件が起きないか懸念される。

 ともかくいま日本が抱えている問題をどう解決していくのか、皆が議論していくような雰囲気をメディアがつくっていかなければならない。