11月3日に迫った米大統領選で政権奪還を目指す民主党は、オンラインで開催された党大会で大統領候補ジョー・バイデン前副大統領、副大統領候補にアジア系の黒人女性カマラ・ハリス上院議員を指名した。一方、共和党は、大統領候補にトランプ大統領を、副大統領候補にペンス副大統領をそれぞれ指名した。バイデン氏が勝利すれば、ハリス氏は黒人、アジア系、女性のいずれでも初の副大統領となる。白人男性が中枢を占める共和党トランプ大統領陣営に挑む。焦りを隠せないトランプ氏は、ハリス氏が昨年の討論会でバイデン氏を非難したことをとり上げるなど、人格攻撃に躍起となっている。
鋭い舌鋒でトランプ政権追及
ハリス氏は鋭い弁舌が評価されている。議会での厳しいトランプ政権追及で注目され、大統領選の党候補選びでは、討論会でバイデン氏の過去の人種問題を巡る対応を鋭く批判。一時は支持率2位に浮上した。差別発言も含めて徹底攻撃を繰り返してくるトランプ氏を打ち負かせるか。人種問題を前面に、失言癖もある大統領候補となるバイデン前副大統領を支える。バイデン氏が当選すれば、高齢だけに再選を狙うかどうか注目される。バイデン氏が1期のみで終わることになれば、副大統領を務めるハリス氏が有力な大統領候補となるだろう。
朝日新聞は「民主党の候補者討論会では、人種差別撤廃のためのバス通学制度にバイデン氏が反対したとして、激しく批判。『ある少女は毎日そのバスで学校に通っていた。その少女は私だ』と詰め寄り、一時は支持率が跳ね上がった」と書いている。
焦りにじませるトランプ氏
中道のバイデン氏は左派も多い民主党を「反トランプ」で団結させようとしており、現時点ではバイデン氏がリードしている。両者は9~10月の討論会で直接対決する予定で、トランプ氏は失言癖のある高齢のバイデン氏から失策を引き出そうと攻撃を続けている。
選挙情勢が不利になってきたトランプ氏は、ハリス氏が副大統領補にすぎないのに、直ちにハリス氏の攻撃をはじめた。米大統領としては恥をさらすような醜い言葉でハリス氏を攻撃した。
トランプ氏はハリス氏について「急進的な左派として失敗したのに、フェイクニュースメディアは無条件に受け入れている」とツイッターで攻撃、バイデン氏とハリス氏のコンビに注目が集まっていることに焦りをにじませた。
民主党の大統領候補選びで善戦したハリス氏は党内では穏健派とされているが、トランプ氏は米国内で抵抗感が根強い「急進左派」のレッテルを貼って、勢いを食い止めたい考えとみられる。
郵便投票巡り攻防
民主党が多数を占める米下院本会議は22日、USPSに250億ドル(約2兆6千億円)を拠出する法案を民主党と一部の与党共和党の賛成多数で可決した。新型コロナウイルス感染を防ぐため11月の大統領選では郵便投票を拡大する州が大幅に増える見込みで、これに対応できる態勢を整えるための措置。共和党が多数を占める上院を通過するかどうかは不透明で、トランプ氏は拒否権を行使する方針だ。