コラム「政治なで斬り」「Go To一時停止」に追い込まれた頑迷な菅首相 小出しの対策で後手後手 高まる批判と支持率急落 

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 苦渋の決断だったのだろう。新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからない中、強くこだわっていた観光支援事業「Go To トラベル」。菅義偉首相は、ついに年末年始の全国一時停止を表明した。経済への配慮にこだわってきた菅首相だが、批判の高まりと内閣支持率の急落で方針転換を強いられた形だ。専門家が強い警告を出してきたのに、小出しの対策に終始し、後手後手に回って、結局、全国一時停止に追い込まれてしまった。

国民目線で見ない「たたきあげ」

 Go Toが感染拡大の主因ではないかもしれないが、「菅首相はエビデンスが不明」とか「一時停止しても感染が収まるかどうか」などと言っていた。一時停止が、感染拡大に向けての強いメッセージの発信になることが理解できないようだ。大変困った状況だ。

 それにしても菅首相は、どうしてこんなにも頑迷固陋なのだろうか。コロナ拡大で政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長もGo Toの停止を主張していたのに、Go Toトラベルを巡って、菅政権は2020年度第3次補正予算案や21年度予算案で、期限延長に必要な追加予算の確保を目指していたが、そうした神経もよくわからない。国民目線で事態の推移を見ていない証拠というべきだろう。さらに記者会見やテレビ番組で薄ら笑いを浮かべてみたり、「たたきあげ」が聞いてあきれる。

「ガースー」に批判集中

 菅首相は11日の動画配信サービス「ニコニコ生放送」で「こんにちは。ガースーです」と言い、「無神経の極み」などとネットなどで批判が集中した。そろそろ国民は、この「ガースー」をはじめとする政権与党の「令和のインパール(GO TO)作戦」に「玉砕」させられかねないことを痛感すべきだろう。「バカな指揮官、敵(ウィルス)より怖い」というところか。「史上最悪の作戦」と言われるインパール作戦を指揮した牟田口廉也中将は責任を取ることもなく、戦後も1966年(昭和41年)まで生き延びていた。

 世界最強の組み合わせは、米国人の将軍、ドイツ人参謀、日本人兵で、 世界最弱の軍隊は、中国人の将軍、日本人の参謀、イタリア人の兵―という組み合わせだそうだ。今の政治状況もどこか似ているようだ。

「勝手なことしやがって」

 14日に菅首相を中心とする協議で最終確認をしたが、全国旅行業協会の会長も務めるGo To推進論者の二階俊博幹事長に敬意を表してキャンペーン継続していれば、政権は重大危機を迎えていただろう。毎日新聞によると、二階派幹部は突然の一時停止表明に「どういう趣旨なのか。勝手なことをしやがって」と不満を漏らしたという。新年になると、政局が動きだすかもしれない。

 ドイツのメルケル首相は、食料品など生活必需品の販売業を除くすべての事業者に来年1月まで営業停止を求める決定をした。国情は違っても、メッセージの発信の仕方が全く違っている。国民へのおもいやりがあるのかどうかだ。首相に就任しして3カ月足らず、早くも「馬脚」をあらわしたということなのだろうか。