看護師ら約400人の希望退職者が出た東京女子医大病院 ボーナス不支給に不満 コロナ禍重なり患者激減し収支悪化  

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東京都新宿区河田町にある東京女子医大病院=8月4日(Photo by Ken Shindo)

 8月5日、東京都の新型コロナウイルスの感染者は新たに263人が報告された。直近7日間の平均で1日当たりの感染者数は約346・3人。累計では1万4285人となった。入院患者は前日より93人増の1475人。
夜の街として焦点になった新宿区の歌舞伎町と同じ区内にある東京女子医大病院(岩本絹子理事長)ではコロナ禍も重なり一般患者が激減している。

 病院側は6月12日、新型コロナウイルスによる患者数減などで収支が大幅に悪化したとして、ボーナスの不支給を決めたと教職員側に通知した。だが病院側の対応に不満を持った教職員、看護師ら退職希望者が約400人になり、病院は経営の危機が国会にまで広がり騒ぎとなった。結局、理事会で夏季賞与は基本給の0・9カ月分でいったん決定した。さらに「コロナ感染症拡大に伴う様々な心労・負荷に対する慰労を込めて」0・1カ月分を上乗せし、合計で1カ月分を支給することで合意したという。

 元来、「名門医大」の東京女子医大は吉岡一族によるワンマン経営で問題が過去にもいっぱいあった。東京女子医大は1900年(明治33)年、吉岡弥生が創立、今年で120年になる。2001年、2014年には女子医大病院で発生した医療ミスによる死亡事故と隠蔽事件が多発したのをきっかけに「特定機能病院」の指定を解除され、経営が悪化していった。昨年、経営立て直しのため理事長が岩本絹子氏に交代。新時代に対応する病院を目指し、建物の改築が行われているが、岩本理事長は今年2月、旧1号館の跡地に創立者の吉岡彌生を記念した彌生記念教育棟を完成させ、この中に6億2000万円かけて理事長室をつくり、物議を醸した。

東京女子医大病院の外来棟で、検診後、会計の順番を待つマスク姿の人たち=8月4日(Photo by Ken Shindo)

 病院関係者によると、昨夏のボーナスは看護師が2・1カ月分、医師や技師、職員は1・8カ月分だったという。それでも気温33度の本格的夏を迎えた東京女子医大病院では医療スタッフが懸命に職務を果たしくれているのがうれしい。