「原爆の父」を描く大作映画「オッペンハイマー」が欧米で公開中だ。恐怖の核兵器開発に成功するものの「血に汚れたわが手」と苦悩する姿を描き、「最高傑作」と米欧で評価。ロシアのウクライナ侵攻で世界が核戦争の恐怖におびえる中、かつて核廃絶と冷戦終結へタカ派レーガンを動かしたのも「核戦争」映画の衝撃だった。米国は今、オッペンハイマーの「成功、苦悩、悲劇」の歴史が必要になった。
<護憲三長老の歴史観と憲法観と今>PKO協力法成立させた宮沢喜一 「植民地支配と侵略」を世界に発信した村山富市 警鐘鳴らし続けた後藤田正晴
岸田政権は、戦後安保政策の大転換といわれる軍拡を進め、十分な説明や戦前への反省がないまま財源などに関する重要法案を次々に成立させた。タモリ氏が「新しい戦前」になりそうだといって大きな反響を生んだが、寸鉄、鋭い時代感覚である。78回目になる8月15日の終戦記念を控えて、国連平和維持活動(PKO)協力法を成立させ、カンボジアに自衛隊を派遣した宮沢喜一、「植民地支配と侵略」を「村山談話」で世界に発信した村山富市両元首相、「日本人は走り出すと止まらなくなる。私には異論があるよという勇気が大事だ」と、警鐘し続けた後藤田正晴元副総理の3氏の歴史観と憲法観には、時代を越えた貴重な意味が込められているように思える。
<バイデン米大統領の経済政策>「新自由主義」経済は破綻 国際経済の新しいモデルは「バイデノミクス」 民主党が新「ワシントン・コンセンサス」を提唱 世界経済をリードと宣言
新自由主義経済のモデル「ワシントン・コンセンサス」(注1)が破綻した後の国際経済のモデルには、バイデン大統領の経済政策がふさわしい。「バイデノミクス」と呼んで、「新しいワシントン・コンセンサス」にするー。米政権首脳のこうした発言がメディアの関心を呼んでいる。米経済の先行きはまだ分からないのに先走りすぎとの批判も出ている。もちろんトランプ前大統領との選挙戦で低迷する支持率を上げる狙いは一つ。併せて冷戦後の世界経済を率いてきた市場任せの「新自由主義」経済は失敗に終わっても、米国は「バイデノミクス」を押し立てて世界経済をリードする、と米国および世界へ向けて宣言したものと受け取れる。
数値重視の議論なぜできぬ 重要課題将来世代に押しつけか 福島原発処理水海洋放出
東京電力福島第一原子力発電所処理水の海洋放出計画は国際的な安全基準に合致する。7月4日、国際原子力機関(IAEA)がこうした包括報告書をまとめ、グロッシIAEA事務局長が岸田文雄首相に手渡した。グロッシ事務局長はその後、日本記者クラブに移動し記者会見を行ったが、予定時刻のだいぶ前から会見場は記者と映像撮影者でほぼ満員。海外メディアと思われる記者の姿も多かった。内外の報道機関がこの問題で日本政府の主張よりIAEAの見方を重視していることを示しているように筆者には見えた。
✺神々の源流を歩く✺
第42回和多都美神社
深いところでつながる大和神話と対馬神話
対馬の中央部、豊玉町仁位にある和多都美(わたつみ)神社を訪ねる前に、厳原市教育委員会の文化財保護課で資料をもらい説明を受けていたら、予定のバスは出てしまった。次は一時間以上待たなければならないというので、後の予定もあってタクシーで和多都美神社を訪ねることになった。