11月に入り、新型コロナウイルス第3波により大幅に感染者が増加。11月9日には政府の感染症対策分科会が全国的な新規感染者の増加を受け、クラスター(感染者集団)対策や水際対策の強化を求める緊急提言をまとめ、医療の専門家らから「GoToキャンペーン」が元凶との指摘が出ていた。それにもかかわらず加藤勝信官房長官は10日、「感染防止対策を徹底して実施することで、感染リスクを低減できる」として、「GoTo元凶説」を強く否定。菅義偉首相も13日、「専門家も現時点で(GoTo見直しをするような)状況にはない」と慎重姿勢を取り続けた。政権の認識は、感染拡大の要因は会食などマスクを外すような行動であり、「人の移動ではない」というものだった。
コラム「政治なで斬り」「Go To」の運用見なし迫られる菅首相 コロナ禍で多くが苦境に陥る 旅行業者は公助、それ以外は自助の矛盾する政治理念
菅義偉首相は新型コロナウイルス対策の観光支援事業「Go To トラベル」の運用見直しを表明した。コロナ禍による感染が急拡大する中、経済再生を優先してきた首相は方針転換を迫られた格好だ、菅政治にはどこか人間的に大事なバランスが欠けているような感じがする。まだ問題は終わった訳ではないだろう。
「政権発足から2カ月」その正体は異論を許さない権力主義的なポピュリスト 「菅氏とは何者か」を考える
菅義偉政権発足から2カ月が経過した。加藤勝信官房長官は11月16日の記者会見で、2カ月を迎えた感想を問われ「国民目線で、当たり前のことを当たり前にできるようスピード感を持って取り組んだ」と振り返った。確かに世論調査での支持率は、発足当初は7割を超えるものもあったが、このところ、5割から6割と下がってきた。まだ高支持率が続く。この2カ月で菅政権の正体が少しずつはっきりしてきた。日本学術会議問題を巡る野党の追及に対する答弁は、しどろもどろのひどい内容だった。「たたき上げ」という自負から出てくるのだろうか、強引人事の正当化や、政策のごり押し、身びいきや、報道への圧力、そしてすり替え。政治家としての公平さや民主的手続きなどを全くすっ飛ばして、国民においしいところだけをアピールする姿が浮かび上がった。
混乱修復を担う新米大統領と旧大統領の冷めない恐怖感 経済秩序の再構築急げ 失われた4年で済むのか
トランプ米大統領の経済運営は、国民の支持をつなぎ止めるためのバラマキ財政とゼロ金利政策、対外的にはどう喝と取引に終始した4年間だった。経済政策以前のドタバタ対応の結果、新型コロナウイルス禍も加わって、リーマンショック時を上回る景気後退や財政赤字、また異常な株高の下での所得格差拡大があらわになった。対外的には米中経済関係の対立が激化する一方で、同盟国との間でも負担を巡りぎくしゃくした関係に陥り、世界経済は瀕死の状態が続くのが現状だ。当選を確実にした民主党のバイデン前副大統領が担うのは、多方面にわたる大混乱の修復の役回りだ。失われた4年間を取り戻すのは容易ではないが、一刻も早く国内経済の正常化と国際協調の再構築に着手してほしい。
「混迷の米大統領選」バイデン氏への政権引き継ぎ拒否 トランプ大統領への非難強めるメディア 保守系FOXニュースが「造反」
米大統領選選で「不正」があったと主張して、共和党候補のトランプ大統領が「法廷闘争」を繰り広げ、勝利を確実にした民主党候補のバイデン前副大統領への政権引き継ぎも拒否し続けている。憲法には各州および連邦議会の当選確認、新議会による承認を経て来年1月20日に政権発足の日程が決まっている。この異常事態が長引くとバイデン氏の当選が無効化され、トランプ氏が取って代わる可能性がある。「民主主義を破壊するのか」とトランプ氏に対するメディアの非難が強まってきた。