6月12日午後6時すぎ、小池百合子東京都知事は記者会見し、「再出馬に決意を固めた。都民の推挙を得るべく戦いに挑みたい」と述べ、どの政党からの推薦も受けずに、都知事選への再選出馬を表明した。テレビでの生中継はフジテレビだけだったようだが、動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」で約50分の会見を見た。プロンプターを使わず、自分のことばで話すこと、質問者を自分で指名すること。この二つが安倍晋三首相の会見と大きく異なる。また、微妙に質問をずらす回答をすることはあるものの、一応、分かりやすいことばで、きちんと答えている。コロナ禍対応で連日、記者会見に臨み、「ステイホーム」「ウイズコロナ」などカタカナ語を連発し「夜の街」を強調するなど、ニュースキャスター時代に身につけた大衆受けするこの人の「もの言い」が都民を引きつけるのだろう。都庁記者クラブ加盟記者にフリー記者も加わった会見だった。
「政治の道具ではない」と米軍部が造反 「デモ制圧」阻まれトランプ氏立ち往生
トランプ米大統領は5カ月に迫った大統領選挙での再選の道を、自らさらに険しいものにしたようだ。トランプ氏は黒人男性が白人警官の暴行により死亡した事件で全米に広がった黒人差別反対抗議デモを、正規軍部隊の投入によって制圧しようとした。「強い大統領」を誇示し、「コロナ禍」対策の失敗を一気に取り返したかったのだろうが、土壇場で軍部が造反して阻止された。今週発表のいくつかの世論調査によると、繰り返されてきた白人警官による黒人への暴力に対し「黒人の命は大切だ」と訴える抗議デモの本質をそらし、「暴力デモ・略奪」という治安問題にすり替えてきたトランプ氏に対し、世論はきわめて厳しい批判を突きつけている。
「汚職事件とコロナ禍に揺れるカジノ構想」(3)あ然とする横浜市長の「ハヤシビデオ」作戦
日経新聞がIRカジノの進捗で『IR基本方針半年遅れ 決定来月以降に 新型コロナ対応を優先』との記事を出稿し、松井一郎大阪市長がそれに応えるように大阪カジノ開幕の1、2年延期を述べた記者会見前日の6月3日、大阪と同じようにIRカジノ整備を進めている横浜市の林文子市長は、あ然とする提案を記者会見で表明した。新型コロナ対応で中断している市民説明会に代わって、自分が登場するビデオ説明をインターネットで流すとともにDVDも貸与するというものだ。ただ来月にも開始と言いいながら、具体的なことは示していない。
「汚職事件とコロナ禍に揺れるカジノ構想」(2)投資余力落ち、V字回復望めず
松井一郎大阪市長は、大阪・夢洲でのIRカジノの全面開業時期が予定よりも1、2年遅れると述べた6月4日の記者会見で、開業が遅れる理由の一つとして「(コロナ禍で)事業者の投資余力は落ちている」と述べた。この「予定」自体、今年3月27日に変更したばかりのもので、当初は2025年開催予定の大阪万博の前の一部開業を見込んでいた。延期の理由は、新型コロナウイルスのパンデミックで事業を目論んでいる米国の事業者が来日できなくなったというものだったが、松井市長が言う「投資余力」の実態について、IRカジノ事業を研究している鳥畑与一静岡大学教授は「カジノの高収益性がコロナ禍で根本的に変化した。V字回復は怪しい」と指摘する。
「汚職事件とコロナ禍に揺れるカジノ構想」(1) 基本方針決定はいつ? 憶測を呼ぶ日経記事
日経新聞が6月4日付け紙面に掲載した記事で、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)推進グループに衝撃が走った。『IR基本方針半年遅れ 決定来月以降に 新型コロナ対応を優先』と題した記事に対してである。カジノ推進派のウェブニュース「iagJAPAN」は日経の記事を受けてさっそく5日に『IRに関する政府の基本方針(決定)はいつになるのか』という記事を掲載した。関係者以外には、さほど大きなニュースではないような記事が業界に衝撃を与えているのは、安倍晋三政権が成長戦略の柱としていたIR付きカジノの行方を大きく左右させかねない内容だからだ。