<護憲三長老の歴史観と憲法観と今>3回続きの(下) 後藤田正晴副総理 反戦、護憲思想 戦前、戦中、戦後踏まえた歴史観

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 「今この人がいたらな」という話になると、名前が挙がるのが後藤田正晴(副総理大臣)氏である。「今日はびっくりしたな」とか「さっきは腰を抜かしたよ」と言って話が始まった。いったい何があったのですかと聞くと、九州出身のある議員が自民党本部の会合で「我々の世代には戦争責任はない。戦争責任は戦争を行った世代にある。われわれはそれにとらわれることはない」と言ったというのである。その議員はその後もこういう分野で活躍している。

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<護憲三長老の歴史観と憲法観と今>3回続きの(中) 村山富市首相 「戦争責任にけじめ」をつけた村山談話

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 村山富市首相(99)の自社さ政権は「55年体制」が崩壊した後、細川護熙、羽田孜内閣に続いて誕生する。自民、社会、さきがけという組み合わせは、いかにも奇異に受け取られた。いくら政治は打算の産物的なところがあると言え、自社はことごとく対立して40年近く不倶戴天の敵の関係にあったからである。自民党が政権に返り咲きたい一心から編み出した奇手だった。

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「原爆の父」の栄光、苦悩、悲劇描く映画が米欧で最高傑作と評価 「血に汚れたわが手」に苦しみ、悩む 米国は今「オッペンハイマーの歴史」が必要に 「プーチンの戦争」で核戦争の恐怖におびえる中

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 「原爆の父」を描く大作映画「オッペンハイマー」が欧米で公開中だ。恐怖の核兵器開発に成功するものの「血に汚れたわが手」と苦悩する姿を描き、「最高傑作」と米欧で評価。ロシアのウクライナ侵攻で世界が核戦争の恐怖におびえる中、かつて核廃絶と冷戦終結へタカ派レーガンを動かしたのも「核戦争」映画の衝撃だった。米国は今、オッペンハイマーの「成功、苦悩、悲劇」の歴史が必要になった。

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<護憲三長老の歴史観と憲法観と今>PKO協力法成立させた宮沢喜一 「植民地支配と侵略」を世界に発信した村山富市 警鐘鳴らし続けた後藤田正晴

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 岸田政権は、戦後安保政策の大転換といわれる軍拡を進め、十分な説明や戦前への反省がないまま財源などに関する重要法案を次々に成立させた。タモリ氏が「新しい戦前」になりそうだといって大きな反響を生んだが、寸鉄、鋭い時代感覚である。78回目になる8月15日の終戦記念を控えて、国連平和維持活動(PKO)協力法を成立させ、カンボジアに自衛隊を派遣した宮沢喜一、「植民地支配と侵略」を「村山談話」で世界に発信した村山富市両元首相、「日本人は走り出すと止まらなくなる。私には異論があるよという勇気が大事だ」と、警鐘し続けた後藤田正晴元副総理の3氏の歴史観と憲法観には、時代を越えた貴重な意味が込められているように思える。

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<バイデン米大統領の経済政策>「新自由主義」経済は破綻 国際経済の新しいモデルは「バイデノミクス」 民主党が新「ワシントン・コンセンサス」を提唱 世界経済をリードと宣言

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 新自由主義経済のモデル「ワシントン・コンセンサス」(注1)が破綻した後の国際経済のモデルには、バイデン大統領の経済政策がふさわしい。「バイデノミクス」と呼んで、「新しいワシントン・コンセンサス」にするー。米政権首脳のこうした発言がメディアの関心を呼んでいる。米経済の先行きはまだ分からないのに先走りすぎとの批判も出ている。もちろんトランプ前大統領との選挙戦で低迷する支持率を上げる狙いは一つ。併せて冷戦後の世界経済を率いてきた市場任せの「新自由主義」経済は失敗に終わっても、米国は「バイデノミクス」を押し立てて世界経済をリードする、と米国および世界へ向けて宣言したものと受け取れる。

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