黒川弘務前東京高検検事長と産経新聞記者や朝日新聞元記者が緊急事態宣言下で賭けマージャンをしていたとの週刊文春のスクープ報道。〃文春砲〃はいまやメディアで一番、威力がある。時の政権も一番気にせざるを得ないメディアであることは間違いない。新聞やテレビは何をしているのか、と言われても仕方がない。結局、黒川氏は文春砲で辞任に追い込まれた。検事の定年延長問題で厳しい政権批判報道を繰り広げながら、一方で現場の記者たちが検察幹部とズブズブの関係にあった、との新聞を中心とした記者クラブに所属し、取材をする「記者クラブメディア」に対し読者の厳しい目が向けられている。これらの声はもっともだと思う。また、当事者の産経や朝日だけでなく、記者クラブメディア全体でこの問題を自己検証すべきだと前回の記事で書いた。しかし、この問題では、何とも言えない違和感がどうしても残る。その違和感の在りかと、この問題が提起した取材対象とメディアとの距離の問題を40年以上前に共同通信社会部で検察担当記者を5年間やった経験から考えてみた。時代も変わり、記者の意識も変わってきているはずだ。だから、〃じじいの戯言〃として読んでいただいて結構である。
「緊急事態宣言解除」公園や商店などに多くの人出 マスク外さず繰り出す 「日常」が戻りつつあるのか
緊急事態宣言が25日、全面的に解除された。解除は1か月半ぶり。東京では、23、24の両日の土・日曜日、商店街や公園などに多くの人が繰り出していた。外出した人のほとんどはマスクをしていた。それでも「日常」が戻りつつあるのだろうか。
「なぜPCR検査が少ないのか」 不十分な準備と検査能力の不足 部分最適に安住する社会の欠陥露呈か
新型コロナでさまざまな論議が交わされている中で、PCR検査がなぜ日本はこんなに少ないのか、がテレビや新聞でも盛んに問題視されている。「37・5度の体温が4日続く」という基準について、「誤解があった」という加藤勝信厚労相の発言も、何とも苦しい釈明だ。準備が不十分で検査能力が不足していたからあれだけしかできなかった、というのが真相ではないか。縦割り行政という言いつくされた指摘に替えて、「全体最適」よりも「部分最適」を重視する日本社会の特徴という観点から、PCR検査問題を考えてみたい。
「検察官の定年延長問題」文春報道で事態急変しても問題は変わらず 黒川検事長辞任でも改正案成立固守する安倍政権
黒川弘務東京高検検事長が産経新聞記者や朝日新聞元記者と賭けマージャンをしていたと週刊文春が報じ、黒川氏は21日、法務省の調査に事実関係を認め、安倍晋三首相に辞表を提出した。安倍晋三政権は5月18日、コロナ禍にも関わらず、成立にこだわってきた検察庁法改正案について、今国会での成立を断念しており、文春の報道により事態は一層、急変したようにみえる。しかし、黒川検事長問題と検察庁法改正は全く別とする安倍政権は、法案を秋の臨時国会への継続審議とする強い意向を示した。内閣の判断で検察幹部の定年延長を可能にする改正案は、黒川氏の定年延長を後付けで正当化しようとするものといえ、黒川氏への違法ともいえる政権による無理筋の定年延長とどうみてもつながっている。黒川氏が退任したとしてもメディアや野党は追及を緩めるべきではない。
「検察庁法改正案の今国会成立断念」 ネット世論が政権直撃 決定打は内閣支持率急落
安倍晋三政権は18日、検察庁法改正案の今国会成立を断念し、翌日、「怒りのツイート政権直撃」(毎日新聞)「Twitterデモが政治を動かした」(ハフポスト日本版)と報道された。5月と前月の世論調査データの比較分析すると、抗議世論の中で急落した内閣支持率が政策転換を促す決定打となった、と推定できる。